風邪・参
フッと目が覚めると ベッド横で腕を組みながらコクリコクリと寝る三蔵がいた
外はまだ暗い
時間を見ると夜中の2時
ベッド横にある棚には風邪薬と水
そして八戒が作ったと思われるお粥が置いてあった
重たい体を起こし水を飲む
まだ体が熱い……
「起きたのか」
「ずっと…いてくれたんだね」
「無理されては適わんからな」
三蔵はまた惷香のおでこに手を当てて熱があるか看る
「まだ熱いな」
「ん……」
薄暗い部屋の中で三蔵の顔を外の街灯が照らす
三蔵はお粥を茶碗に盛り惷香に渡す
しかしまだ食欲がない
茶碗を持ったまま口に運べない
三蔵が溜め息を漏らし茶碗を惷香から奪うと
蓮華で少し掬い惷香の口元に運ぶ
「一口位は食え
薬飲めねェだろ」
「食べたくないんだけど…」
「チッ」
「ゲホッゲホッ」
「それ以上悪化して馬鹿に拍車が掛かったらどうする
さっさと食えっつってんだろーがッ!」
「う゛……」
惷香は口を開けると
三蔵はスッと蓮華を運び一口お粥を食べる
かなり煮込んだんだろう
柔らかくてすぐに飲み込む事が出来る程に食べやすい
「これ八戒が作ったのかな?」
「あ?あぁ
アイツにしては時間掛けて作ったらしい
アイツなりにお前を心配しているんだ
お前がいないとあの馬鹿2人の面倒1人で見るのが嫌なんだろーがな」
「またそんな事言って…」
「まだ食えそうか?」
「これなら食べれるから自分で食べる」
惷香は三蔵から茶碗を受け取るとゆっくりだが一口一口と口に運び
茶碗に盛ったお粥を完食した
「ご馳走様でした」
丁寧にお礼を言うと三蔵に薬を渡された
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