風邪・弐


「でもホント大丈夫だから」








強がる惷香に段々三蔵が苛々する









「てめェ
それは【大丈夫】とは言わねーんだよ」


「だから平気…ゲホッゲホッ!!」


「惷香
僕達に心配掛けたくのいのは分かりますが
身体が主本ですからね
僕薬買ってきますので部屋にいて下さい」


「――ッだから…」


「いて 下さいね?」


「……はい」









八戒の笑顔で本気で言われるのは正直反論出来ない
仕方なく席を立つ









グニャリ――









世界が歪む
慌てて椅子の背に掴まりガタタッと音を立てる








「おい惷香ダイジョーブかよ?!
俺オンブするよ!」








悟空が口を動かしながら席を立つ

その時足が地面から浮いた








「わ……ッ」









三蔵が惷香を抱きあげた








「だから言ったろーが!
大人しく部屋で寝てろ!」


「ちょ……
1人で歩けますッ!」


「何か文句あんのか?」


「いえ……」









大人しく三蔵に抱きあげられ
部屋へと入った

ベッドにドサリと落とされ
布団をバサリと力いっぱいに掛けられる








「うぷ……」


「最初から辛いならそう言え」


「だから……」


「大丈夫な訳ねェだろーが!」


「う、うん…」


「強がんじゃねーよバカが」


「……ゴメン」


「寝ろ」









もぞもぞと布団に潜り込み
布団を口元を隠す様に『うん』
と頷いた


ベッドで横になる惷香の隣で三蔵は黙って座っていた





安心する――…





そのまま惷香は眠りに付いた







.

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