風邪・壱


それは大きな川を泳いで渡った次の日の出来事








「ゲホッ ゲホッ!!」

「惷香どうしました?
風邪でしょうか?」








夕飯の時飯処で注文前
メニューを見ながら八戒が惷香の正面から尋ねた








「え…いえ、だいじょ…ゲホッ!」


「おいおいおい〜
そりゃ大丈夫って言わねーぜ?」








隣に座る悟浄がテーブルに肘を付いて吸ったばかりの煙草をもみ消した








「何ナニ?惷香風邪なの?
ダイジョーブ?飯食えば治るって!!」








斜め向かいから悟空がメニューの全部を店員に注文をした









「辛いなら部屋戻ってろ」








上座に座る三蔵が惷香を見ながら煙草に火を付けた








「ホント大丈夫
えと…私はウーロン茶で」








身体が熱いのは確か
しかも飯物は喉を通らない…




周りの視線が








『お前大丈夫じゃねェ』








と言っている様で痛い…








「おい てめェ…」









三蔵が何か言おうとした時注文した品が来た
各自大皿から料理を小皿に取り分け一斉に








『いただきます』








と言うと共に悟空の口へと料理は消えていく








そんな中息をハァハァとしながらウーロン茶を飲む








「惷香顔が真っ赤ですよ?
やはり熱があるんじゃないんですか?」







と、八戒が惷香のおでこに手を差し出すが
三蔵が先に惷香のおでこに手を付けた








「熱いな」


「え?そんな事…」


「俺が熱いと言っている」


「三蔵の手が冷たいんだよ?」








三蔵が手を離すと八戒がすかさず手をおでこに付けた








「熱いですね」


「店の暖房が熱いんです」


「付いてないんじゃねェの?」








すかさず悟浄が天上のエアコンを見ながら言う


三蔵は八戒に



『―チッ』



と舌打ちを聞こえよがしに鳴らした





.

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