雨の音・参


テントに入ると一番奥で向こうを向き寝転がり
肘を立てその手に頭を乗せている三蔵が見えた


静かにテントを閉め近寄る








「何だ」


「雨…嫌いなの?」


「関係のない事だ」








胸が痛む1言
【関係ない】
そう言われたら何も言えない…




惷香は横になっている三蔵の後ろに座り黙り込んだ








「言いたい言があるなら言え」

「言えません…」









三蔵がイライラしてるのが分かる









「黙ったままそこにいるつもりか?」


「嫌なら出て行きます」








惷香が敬語に戻る時は決まって不満がある時


三蔵も気付いてか
「チッ」と舌打ちをすると体を起こし
惷香の真正面に向いた








「何なんだテメェは…」


「何だと言われましても困ります」








三蔵の眉間の皺が更に深くなり惷香の腕を掴み三蔵の方に引っ張り
惷香の体を法衣で包み込んだ








「めんどくせぇんだよ
テメェは」


「面倒なら手を離して…」


「俺が離さないのは知ってるだろうが」


「……」









三蔵の腕に包まれ法衣から温かさと三蔵の匂いに目眩がする程鼓動が高鳴る









「三蔵?」









腕がズルッと下がったかと思うと三蔵は惷香に寄りかかったまま眠りに付いた




三蔵は最近の長雨続きでロクに眠らない日が続いていた









「可愛い寝顔…」









惷香は三蔵の頭を自分の膝に乗せ前髪を指で掻き分けた








「ん……」









と、たまに動く姿を惷香は雨が止むまで見ていた









.

[ 12/216 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -