雨の音・四


雨が上がる頃
惷香は座ったままで壁に寄りかかり
膝には三蔵の頭を乗せたまま眠っていた


八戒や悟浄がテントが静かだと見に来たが
2人の寝ている姿に黙ってテントを閉めた



三蔵が目を覚ますと 自分が惷香に膝枕されたまま寝てしまった事を照れた


壁にもたれて寝ている姿を見て雨なのに
あの夢を見なかった事が不思議だった―







コイツのせいか……?








三蔵は膝を立て座ると寝ている惷香をジッと見つめた








カクン









惷香の頭が壁からズレると惷香はハッと目を覚ました








「おいヨダレ」


「えぇッ?」









慌てて口元を袖でこする








「あのまま寝てたのか?」


「え?みたい…」









どうやら2人共気付いた時には眠りに付いてしまっていた様だった








「そうか」









三蔵はそう言うと立ち上がった
惷香も後を追おうと立ち上がったが 足が痺れて

立った瞬間

三蔵にもたれかかり押し倒した










「〜〜ッ!テメェは何やってんだ!」


「ごっ、ごめんなさい〜
足が痺れて……」


「退かせば良かっただろッ!」


「だ、だって〜〜…!」


「"だって"じゃねーンだよ!」


「怒らないでよ〜」








と、三蔵の上に乗ったまま言い合いをしていたら
テントが開いた









「どうしたんです?
何かありま……」


「おいどーした八戒
何かあったの……」








「「「「……」」」」









テントは再び閉められ
外からは2人の謝る声が聞こえた








「何か……勘違いされちゃったみたいだけど…」


「ならいい加減どけろッ!」








テントの外に出ると目を合わせない八戒と妙に三蔵に馴れ馴れしくなった悟浄
そして


「何?何?何があったの?」


と質問攻めにする悟空の姿があった



その後誤解が解けるのは


次の雨の日までなかった…




雨の音・fin

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