雨の音・弐


「なぁなぁ惷香
ずっとこんなに静かだったの?」









悟空が惷香に近寄りヒソヒソと話をする








「え、ええ」









困惑した様に答えると悟空は胡坐をかいて座り
溜息を洩らす









「あーもうッつまんねーよ!」








悟空はタオルを肩に掛け大きな声で訴える








「テメェはうるせーんだよ
少し静かにしてろ」








三蔵は目を伏せたまま悟空に一喝する









「何だよ!皆して雨になると黙りこくってさ!」


「のーてんきのバカ猿とは違うのさ」


「ンだとォこんのエロ河童!!」


「テメェら少しは静かにしろって言ってんだろ!!
殺すゾ!」


「まぁまぁ三蔵
落ち着いて下さい」








いつもの空気に戻ったかと思うと銃を持って立ち上がった三蔵はそのまま
「フン」と
テントの中に入って行った








「悟空も少しは落ち着いて下さい?」









宥める八戒もどこか切なそうな顔で言う
悟浄は頭をガシガシと掻くとまたドカリと座り煙草に火を付けた


悟空も「つまんない」

と不貞腐れたまま 八戒の温めたスープを飲み始めた



テントをチラリと横目で見る


心配だけど……


その時八戒に









「惷香
僕もですが三蔵も雨は苦手なんです
どうも雨は……
なので三蔵をお願いしますね
僕はホラ悟空も悟浄もいますしね」









そう言うと八戒はニコリと笑う
悟浄を見ると後ろ姿のまま手をヒラヒラと「行け」とあしらい
悟空は相変わらずスープに夢中だった


惷香は


「はい」


と頷きテントに静かに入った





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