雨の音・壱


その日は朝から雨だった








ザ―――









全ての音を掻き消すかの様に空から怒涛の雨が降り落ちる









「………」


「………」









いつもなら騒がしい4人が大人しい


悟空が食材を探しにと森の奥に木の実がないか探しに出掛けているからかもしれないが
残りの3人も黙ったままだ



残った惷香を含めた4人でテントを張り
焚火が出来る様にテント前には天幕を張った



焚火の前で無言で何か料理を温める八戒の横顔をチラリと横目で見た



何か切ない顔をしている



聞いてはいけない――





咄嗟に悟った
惷香も黙ったまま荷物の整理を始めた
カバンに手を入れたまま三蔵をチラリと見る




三蔵は目を伏せたまま煙草を吸い銃の手入れをしている


が、どこか上の空


悟浄は2人を悟ってか空を見上げながら煙草を吹かす



空気が重い……


雨は確かに憂鬱
けどこれはちょっと…


そんな時森の奥から悟空が戻って来た









「ッあー!腹減ったァ!
もうビショビショだ〜」


「悟空はいタオル」


「惷香サンキュ!」








悟空は天幕の下の焚火の前で上の服を脱ぎ
頭をグシャグシャにタオルで拭く








「それにしても雨ヒデーなァ」


「そうだね…」









雨音は強くなるばかりで黙る事が重い空気へと変わる







.

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