七拾六


八戒は悟空を押し倒し悟浄に金鈷を求めるも

腹部への1撃で肋が鈍い音を立て
吹き飛んだ八戒を肋骨の折れた悟浄が身を呈して受け止めた








「八戒ッ!
悟浄ッ!
悟空ッ!
もう止めッ…!」









ガウ――…ン!












青空に1発の銃声が鳴り響いた







毒を受けた三蔵が立ち上がり悟空に銃口を向けた








「湧いてんじゃねーよ
このバカ猿」


「さ、三蔵ッ!
貴方まで…いけない!
まだ毒も…ッ!」









惷香の声も2人の耳には入らない――


互いが互いを見る

三蔵は「来い」
と呟くと悟空は三蔵に向かい襲い掛かった


三蔵は銃を放り投げると
悟空を蹴り飛ばした








「―――生憎
てめぇに使うような無駄弾はねえよ」









互いを殴り 蹴り合い
三蔵が倒れ悟空が馬乗りになると三蔵はスゥッと悟空を真っ直ぐに見た


すると経文が舞い上がり
三蔵は悟空の頭に手を置き経を唱えた









「オン・マ・ン・ハッ・メイ・ウン!」








すると悟空の頭には金鈷がカッと嵌められた――





悟空はガクリと倒れ込むと三蔵は









「…バカ面……」









とだけ呟き倒れた





独角児も紅咳児を連れ戻ると
八戒は悟空と三蔵を抱えジープへと運んだ








「惷香
身体は大丈夫ですか?」


「ええ…」


「もう力も使い果たしたでしょう
三蔵の身体には毒が回らない様に留まっています
制御装置付けてここまでするには立ってもいられない程な筈です
さ、街まで行くので速く乗って下さい」


「八戒貴方も辛いでしょう…
少しでも回復するから」


「そんな事したら死んでしまいますッ!
大丈夫もう車で移動するだけですから」








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