惷香はそのまま気を失っていた様だった





どれ位か経ち 惷香は気が付いた








「いっ…た…」









横たわる身体をゆっくりと起こす




周りを見ると何もない花畑








「ここは…いったァ…」








見ると腕に傷が出来ている
墜ちた時にでも木に引っかけたのだろう

しかし 墜ちたと思われる崖が見当たらない


誰かがこの花畑に運んだのか…

その時は単純にそう思った


惷香は立ち上がり 骨などに異常はないか全身を見る


腕の傷以外は無傷だ

よくあんな崖から落ちて無事だったものだ

自分の生命力の強さに敬意を払いたい


そんな冗談を考えていた


ここにいれば この花畑に運んでくれた人が戻って来るかもしれない

そうしたらお礼を言おう

そんな事を考えながら 胸元に抱えた本の表紙を見た







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