六
惷香はそのまま気を失っていた様だった
どれ位か経ち 惷香は気が付いた
「いっ…た…」
横たわる身体をゆっくりと起こす
周りを見ると何もない花畑
「ここは…いったァ…」
見ると腕に傷が出来ている
墜ちた時にでも木に引っかけたのだろう
しかし 墜ちたと思われる崖が見当たらない
誰かがこの花畑に運んだのか…
その時は単純にそう思った
惷香は立ち上がり 骨などに異常はないか全身を見る
腕の傷以外は無傷だ
よくあんな崖から落ちて無事だったものだ
自分の生命力の強さに敬意を払いたい
そんな冗談を考えていた
ここにいれば この花畑に運んでくれた人が戻って来るかもしれない
そうしたらお礼を言おう
そんな事を考えながら 胸元に抱えた本の表紙を見た
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