七拾


惷香の話はそこで終わり
各自自分の部屋で眠った

惷香はベッドの中で色々と考え
自分の掌を顔の上に翳し見る








「見た目は何も変わってはいないのに」








そうポツリと呟くと 瞼を閉じた









―次の日の朝

宿屋の三蔵の部屋で八戒と三蔵が話をしていた

窓辺に後ろ向きで寄りかかり
三蔵は煙草に火を着けた








「で、話と言うのはどうせ惷香の事だろう?」


「ええ
三蔵は不思議には思いませんか?」


「何がだ」


「夢を見ていた
と彼女は言っていましたよね
男が4人出てくると」


「ああ」


「もしかして…僕等の事なんじゃないんですか?」


「どうゆう事だ」


「以前悟空に三蔵と出会う前の質問をしていたそうですよね?」


「あったなそんな事」


「もしかしたら悟空が閉じ込められる前の500年前
彼女は悟空と会っていたのではないでしょうか?」


「500年だぞ?
そんな前の記憶が夢で出るって言うのか?」


「ですが
そう考えるといくつか合点が行くと思いませんか?」


「バカ気てる」


「三蔵――ッ」









三蔵は机の上の灰皿に煙草を揉み消すと 部屋のドアへと近寄って行った








「もし 500年前に悟空と会っていたとしても今のアイツではない
前世の事なんて知ったこっちゃねェな」








そう八戒に告げると 部屋から出て行った
八戒は三蔵の後ろ姿を見て溜息を洩らした







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