六拾九


「そして私は元のこの世界に戻る事が出来た
けれど向こうの世界での身体はこの世界とは違う物だと言う事です…」


「だから
【生まれ変わる】
と…?」


「はい―――
そして私はこの世界の
元々この世界で産まれていた場合の身体になったんです」


「え 何?惷香どこも変わってねーケド?」

「その腕の物はもしかして…」


「制御装置…です」


「ちょ、ちょっと待てよ!
じゃ何か?惷香は妖怪になったつー事か?ええ?」


「人間ですよ
ただ三仏神の言っていた
【特別な力】を押さえるだけの物だと思います」









皆は食事も終わり
食後の熱いお茶を自分の目の前に置かれたまま沈黙した









「妖怪じゃないのに制御されてんの?」








悟空がポツリと呟いた

惷香は悟空に視線を向けるとコクリと頷いた









「じゃあ惷香
貴女の力と言うのは…?」


「治癒です
けど八戒の気功などとは違いますが」


「なるほどな
そのお前の転生を邪魔した者については不明なのか?」


「…はい
多分その邪魔をした者を知るには牛魔王の蘇生実験を阻止する事にも関わりがあると思います…」


「だから三仏神っつーのが俺達と旅しろっつったンだな
全く先に言えってンだ」








悟浄は溜息交じりに椅子の背もたれに寄りかかり
ギシリと音を立てる








「何かよくわかんねーケド
惷香は俺達と一緒にいるんだよな?」


「え、ええ
いれるなら…」


「ならいーじゃん
今までどーりって事だろ?」


「今まで通り
と言うんでしょうかね
こういうのって」










八戒が
あはは〜と笑う

灰皿で煙草を消した三蔵がポツリと言う








「ま
今まで通りでいいだろう
敵でもないんだ」








そう言うと席を立った







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