六拾七


移動中三蔵は眠ったままで
惷香も一言も喋る事はなかった


八戒も昨日惷香に理由を聞こうとしたが

【皆がいる時に】と言われ
話は聞く事も出来ないまま。


空気を読んでか悟浄もジープに肘を付いた手に顎を乗せて
口元を隠すかの様にしながら風景を見ていて

悟空が騒ぐかと思ったがタイミングが良く悟空はぐっすりと寝ていた


次の街に着いたのは昼を少し過ぎた頃。








「うわあー
店がいっぱいだッッ」


「こんな賑やかな街も久しぶりだな」


「ああ」


「妖怪のあまり影響を受けてないんでしょうね」









喜ぶ4人を余所目に惷香は塞ぎこんでいた

その様子を見た三蔵が








「そろそろ飯だ」









と声を上げると悟空が









「飯!?」









と興奮し出し、空気も読まない奴と思われつつ旨い飯屋を探し始めた


1件の飯屋に入り各々注文をした









「おばちゃん俺ねっ俺ねッ
コレとコレとコレとコレとコレとコレとコレと…後コレとコレとコレとコレと〜」


「お前は少しは落ち着けッ」


「僕はじゃコレを」


「おい 酒だ」


「俺もねー」


「惷香は何食う?」


「………」


「おーい惷香?」


「え?あ…えとコレを」


「分かった!おばちゃん
コレもねッ」









テーブルに置かれた水を一口飲み溜息を洩らす








「おい」









三蔵が煙草の灰を灰皿にトンッと落とし
視線をそのまま惷香に移す









「何があった」


「え…」


「『え』じゃねェだろ
おい八戒
俺が倒れた時何があった」


「えっとーー…」


「濁してんじゃねェよ」


「言ったら三蔵様興奮すんじゃねーの?」


「どういう事だ」


「あのッ…!お話…しなければならない事があります」








意を決して惷香が顔を上げた






.

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