四
その日の夜も 惷香は眠る事なくその本を読んだ
フと トイレにと立ち上がった時には夜が明けていたのだった
「ああ 寝ないで読んでいたなんて…」
惷香は窓の外を眩しそうに眺め 厠で用を済ませると朝食を軽く済ませ 日課である畑の様子を見に行った
畑の雑草を抜いて 育った作物を収穫する頃にはお昼を過ぎようとしていた
惷香は家に泥だらけの顔で戻ると 洗面所で顔を洗い 昼食を済ませ
本を持ち いつもの草原へと赴いた
朝起きてから本が気になっていたので 惷香は歩きながら本を読みだした
毎日歩く林
どこに木が出ているかも把握している
どこに崖があるかも把握している
つもりだった――
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