家に着いてからも惷香は本の続きが気になり 夕飯も忘れ
本を読み出した


その時
隣に住む叔母さんが部屋のドアをノックした









「は、はい?」











急に現実に戻され
慌ててドアを開ける








「あ、こんばんわ…」


「ああ、いたいた
惷香ちゃん
どこ行ってたのー」


「すみません
ちょっと…」


「そうなのー?
ああ、これなんだけど 作り過ぎちゃってね
良かったら食べて!」









叔母さんは1人暮らしの惷香に
こうやって料理などをたまにお裾分けしてくれるのだ









「ありがとうございます」









片手鍋ごと渡された中にはまだ暖かいおでんが入っていた








「おでん…
懐かしい…よく昔……」


「え?いつ食べたんだい?」








叔母さんが惷香の言葉にドアへと向かいながら尋ねる








「え…?」


「だからおでん」


「おでん?」


「懐かしいんだろ?」


「懐かしい…?
ああ え…?」








そうだ
懐かしい気分ではあるんだけど 一体誰と?
いつ?どこで?









「大丈夫かい?」









叔母さんが心配そうに尋ねる








「いいえ 大丈夫です
心配掛けてすみません」


「ならいいんだけど
いつでも何でも相談してね」









そう告げると 叔母さんは惷香の部屋を後にした







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