五拾壱



荷物がないとは言え 精神的にキツイ光景を見たダメージに足場の不安定な岩場で
惷香は息切れをしながらも4人の後を追うのが精一杯だった


重い身体をどうにか引きずり
岩場を抜けたのはその日の夕方だった








「っはァ〜…やっと草見れたァ〜」








最初に疲労の声を出したのは悟空だった
各自荷物を下ろすと テントを張った

八戒が夕食の準備で火を起こすと 惷香も夕飯の準備にと手伝いを買って出た







「八戒
私もお手伝い致します」


「惷香さんお疲れでしょう?
休んでいても構いませんよ?」


「いえ料理位は大丈夫ですから」


「お前は【大丈夫】が口癖の様だな」








火の傍に座り
煙草の煙を吐きながら三蔵は惷香を真っ直ぐな瞳で見る







「確かに足手纏いだ
だがな
一々遠慮される方がよっぽど迷惑なんだよ」








お鍋を持ったまま
惷香は黙ってしまった








「な、何もそんな言い方はねーだろ三蔵!
でも、でも…俺も遠慮はして欲しくねェ」


「どっちなんだよテメーは」


「遠慮はして欲しくねェ!
上手く言えねーけど…俺何でも手伝うしさッ…!」


「悟空…」


「お前はまだ出会って少しだからと気を使ってる様だが
そんなのは関係ない」


「三蔵の言い方はアレですけが
確かにそうなんですよ
僕達はもう仲間です
惷香さんはこの世界に来て不慣れな事も多いですし
女性と男性の差などもあるんですから
気を使わずに休んで下さいね」


「八戒…」


「そーそー
嫌になって惷香ちゃんがいなくなったら困っちゃうもの〜
だからさガンガン甘えちゃってよ?」


「悟浄…」


「おい そこに座れ」


「え?」


「座れったら座れ!
ぶっ殺すぞ!」


「は、はいッ!」


「クツを脱げ」


「は…い」









新しく買ったクツで踵は肉刺が出き
潰れ 血が滲んでいた








「うっわ!いったそ〜!」






.

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