四拾九


運転に八戒
助手席には三蔵
後部座席には左から悟空 惷香
悟浄で乗り込み
次の町へと出発した

元いた世界と違うとは言え
自然などは変わらない
ジープからの流れる景色を堪能していると
悟空と悟浄の言い合いが始まり
三蔵の銃がカチャリと鳴ったかと思うと
それを八戒は宥める


もうこの光景を何度も見ているとさすがに慣れても来る





太陽が真上に上がり 昼ご飯を作り
皆で食べ
またジープに乗り込むと西へ西へと移動し
日が傾くとテントを張り
交代で見張りをして就寝した


何事も起きずに1日は過ぎて惷香はホッとしていた





その次の日
ジープでも移動出来ない険しい岩場に差しかかった


ジープが白いドラゴンに戻り
その姿を見た惷香はドラゴンを可愛い〜と喜んだ



各自自分の荷物に食材などを持ち
歩いて岩場を越える事となった








「あ〜もう!
ジープ!お前空飛べよ!」


「キュ〜〜」


「悟空可哀想ですよ
ジープは飛べませんし
この岩場は走れませんからね
我慢して下さい」


「どの位で越えれる」


「そうですね
地図によれば半日でしょうか」


「っかー!
半日もこんな岩だけの景色見てろってか〜」


「猿でも見てろ」


「え?え?どこかに猿いたの?どこ?どこ?」


「ぷっ」








思わず吹き出してしまった
しかし
こんな足場の悪い場所を荷物を持って移動するのは
女の足ではとても厳しい


すでに足が痛くなって来た…








「惷香
大丈夫?俺荷物持ってやるよ」


「大丈夫です
悟空は自分のと食材も持って大変でしょう?
心配しないで下さいね」








心配と迷惑を掛けたくない
精一杯の笑顔で悟空に答える








「おい猿
甘やかすな」









三蔵の一撃が飛ぶ
悟空は三蔵に不満そうに文句を言いながら惷香に









「辛い時は言えよ?
俺こんな事しか出来ねぇし…」








と申し訳なさそうに小声で言う

そんな悟空の優しさに素直に

「ありがとう」

と伝えた






.

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