参拾四


ハッと気が付くと
川の傍の木陰で寝かされていた



身体を起こすと額から濡れた手拭いが落ちた







「夢……?」








全身には汗
そして脱力感


肩で息をする


そこに三蔵が水を持って戻ってきた









「気が付いたか」


「あ…すみません」

「気にするな
体調は平気か?」


「はい……」









俯きながらポツリポツリと答える









「体調が悪いなら言え
倒れられた方が迷惑だ」


「………
申し訳ありません…」








三蔵は腕を組み溜息を吐く




惷香は夢の内容が気になっていた
あれは誰だったんだろう…


悟空が私の【心残り】に関係しているんだろうか

そして彼も…


考え込む惷香を見た三蔵は









「多分三仏神に会えば戻る方法も分かるやもしれん」









その声に顔を上げる








「あまり考え込むな」








三蔵なりの優しさなのだろう

惷香は下を向いて





「はい。」








と呟いた







.

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