参拾弐

惷香は三蔵の後ろを追う様に歩いた
三蔵は歩きながら裾に手を入れ
煙草を取り出すと火を付け
煙を吐き出す


三蔵は口に煙草を咥えながら振り返り









「あの森を抜けるぞ」








と、昨日皆と出会った森を顎で指した








「はい」









と返事をすると
2人で森の奥へと入って行った








「妖怪が出るやもしれん
用心しろ」


「え……?」









用心しろっても
戦う術もない
逃げればいいのか…


そんな事を考えていると
タイミング良く現れた








「三蔵一行!
いや今日は三蔵のみか
こいつはツいてるぜ〜」









妖怪は3人
耳が尖り
刀をベロリと長い舌で舐める








「これはこれは
女連れとはいい身分じゃねーか
その女も頂くとし……」







ガウンガウン!!











話も途中で三蔵が銃声を鳴らす

目の前で血が流れ妖怪が倒れた




何かがフラッシュバックの様に

目の前に違う画面が入り込んできた






ザッ―ザザザッ―


ノイズ混じりに視界が揺れる


倒れる人々
そこの中心に立つ茶色の髪の長い耳が尖った人物




枷が見える…






その部屋に入って来た金髪の長い髪の男
ニヤリと笑う金目の男―――





悟   空 ――?







「……っ!」









声が聞こえる…
懐かしい 声








「……ッ!?」

「……んのか!?」

「惷香!?」









ハッとする



顔を上げると三蔵が顔を覗き込んでいた








「あ……?」


「しっかりしろ
どこか怪我でもしたか」


「え…い、いえ」









周りを見ると妖怪は血を流して倒れていた


自分の手を見ると返り血で染まっている








「あ……」










手を見てガクガクとする









「おい
大丈夫か?」








顔を上げると
金髪の長い髪の男が三蔵と重なった










「金……ぜ……」









惷香はそのまま意識が途絶え




倒れ込んだ








.


[ 36/201 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -