参拾壱
惷香はしばらくの間はこの街で住み込み
お金を貯めて目的を探す事にするかを考えていた
しかし素性もしらない人間を雇う店はどこにもなかった…
見かねた三蔵は寺院を紹介するからそこで奉公すればいい
と提案してくれた
どの道
異世界から来た惷香を長安にある斜陽殿にいる三仏神に謁見させるとの考えもあっての事だった
当然女人禁制ではあるが
異例の事態により謁見も通るだろう
と、三蔵と共に斜陽殿へと向かう事となった
この街からそう離れていない為に八戒と悟浄、悟空はこの街で三蔵が戻るのを待つ事にした
「惷香
またなッ!」
悟空はニコッと笑い 手を差し出す
惷香は手を差し出し握手をした
悟浄はすかさず隣に来て惷香の肩に腕を回し
「じゃーな」
とウインクをする
何かもう慣れて来た自分がいる
八戒は
「たった1日だったとは言え
寂しくなりますね
お元気で」
と哀しげな顔で笑った
惷香は3人に深く頭を下げ
先に進む三蔵の後を追うように街から出た
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