拾七


あちこち聞いて周り
足は擦りきれ、喉も乾いた

空はもう暗くなり
街には徐々に明かりが灯されていた








「どこかで少し休もう…」








惷香は近くにあった飲茶屋に足を運んだ








「いらっしゃいませー
お1人様ですか?」


「はい」


「こちらにどうぞー」








2人掛けのテーブルに案内され
やっとの思いで椅子に腰を下ろす






フー…






無意識に深い溜息が出る




メニューを渡され








「ご注文がお決まりになりましたらお呼び下さい」









店員がそう告げると お冷とお絞りを置いて離れた
喉を潤すべくお冷を一気に飲み干し
メニューに目を通す



(え…何語…?)








それもその筈。
メニューは全て中国語で記載されている















「あ、すみません」








スッと手を上げ店員を呼び適当に指を指して飲み物を頼む

少しして飲み物が届くと両手でカップを包む様に持ち ゆっくりと口に運んだ






さて これからどうしよう

話を聞いた所 惷香が住む場所を知る者がいない

となると かなり距離があると考えられる



一体どうやって私はこの地域に連れてこられたのか

不思議な事が多すぎて
考えも何もまとまらない




それにここのメニューを見ても街の看板を見ても全て漢字。
これは中国語なのだろうか…?






溜息を付きながら ポケットから財布を出し
自分が所持している金額を見る


16052円




この金額ならばどこか泊まる場所は確保出来るだろう


飲み物も飲み終わり 伝票を持ちレジへと向かう




.

[ 19/201 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -