拾弐


惷香はその手に掴まり やっとの思いで立ち上がった

足などに付いた泥や草木を手で払い退け 顔を上げると



ニコニコを笑みを浮かべた片メガネの男

頭に金鈷を付け 金色の瞳の小さい男

赤い長い髪に 煙草を咥えた男

そして 横向きだが金髪で不機嫌そうな



僧侶?



それが惷香の印象だった

でも この特徴 どこかで…


そんな事を考えていると 金髪の男が懐から煙草を取り出し
火を付けると煙を吐き出し
惷香に目を向けた


ドキンと胸が鳴る程吸い込まれそうな紫色の瞳――








「で もういいか?
もう1度聞く
こっちに妖怪が来た筈なんだが」








惷香はハッとする








「妖……怪?」


「多分空を飛んで行ったと思うのですがー」








片メガネの男が言葉に付け足す様に
にこやかに言う









「あの…妖怪って…あの妖怪ですか?」


「どの妖怪だ」


「分かんないけどあの妖怪ッ!」








小さな男が付け足す

あの妖怪ってやっぱり…






(ゲゲゲの鬼○郎とか あの妖怪…なのよね…
だとすれば この人達はコスプレなのかな…)









「えっと 一反木綿とかですか?」


「え 何その妖怪!」


「へーお嬢さん
もう妖怪の名前知ってんだ
すんげェ」


「え、あの…ゲゲゲの?」


「ゲゲゲ?」


「何?ゲゲゲって」


「あははー会話が噛み合ってない様子ですね」




.


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