拾壱


その時 何かにドン
とぶつかった




惷香は木にぶつかったのだと思った
そして振り返ると
そこには何人かの影が立っていた








――ッッきゃぁぁぁ!!








惷香は絶えていた恐怖が一気に込み上がった


目を瞑り 本を胸元にしっかりと抱きしめ
力の限り叫んだ









「うわっ!」


「ぬおっ!」


「わーお。」


「うるせぇ!」









その声にソッと目を開けると
そこには4人の男が立っていたのだった







「うっわ〜耳がキーンってなったァ」


「悲鳴は悲鳴でも
ベッドの上での悲鳴の方が俺は好みだなァ」


「教育的指導」










逆光で顔は見えないもののその4人は
どこか懐かしい匂いのする人達だった








「すみませんねぇ
脅かしてしまった様で」


「あ いえ…」


「お嬢さん
迷子なら俺が案内するけど?」


「ねーねーこの辺に妖怪来なかった?
ねーねー」









次々に会話が繰り出され
惷香は答える
間もなく質問攻めに合った








スッパーン!!









「てめェら!黙ってろ!!」








1人の男がどこからかハリセンで2人の頭をいい音を出して叩いた








「すまない
所でこの辺りで妖怪を探している
こっちに来た筈なんだが
見ていないか?」


「三蔵
まず彼女を脅かして腰を抜かしてしまった様ですよ
落ち着くのを待ちましょう」








優しい口調の男が惷香にスッと手を差し出した







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