男と別れた後
男が付いて来ないか後ろをチラチラと振り返りながら林の奥に進んだ


男はどうやら付いては来ていない

ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間

辺りを見回しても
今まで見た事がない場所




おかしい。

産まれてから今まで
惷香は近くの町で育って来た


ましてや あの崖のある林には毎日通っていて
むしろ庭の様なもの


当然崖の位置も分かるし 崖の下にも何度も来た事があるのだが 先程の花畑も然り



見た事もない場所




としか言いようがないのだ…








「ここは……林と言うよりも…森って感じよね…」








独り言をブツブツと呟きながら 木々の枝を避け
獣道を進めるだけ進む








「一体ここはどこなの?
と、言うより
誰がここに私を連れて来たのだろう…」







木の間から見える太陽の光を眩しそうに見上げ
手で直視を避ける



その時
その上空を何かがザッと飛んだのが見えた








「何!?
鳥?にしては大きい…」








惷香は飛んで行った先を見て 獣ならば襲って来るかもしれない



まさか…UMA?(未確認生物)



金にはなるのかな……


でもよく宇宙人は脳にチップを入れるなんて話が…。
そんな事されれば意味がないかもしれない

などと
もうふざけた事までもが頭に過る程怯えていたのだった




心臓はバクバク
手には汗がビッショリ

ダッシュで逃げたら追いかけて来ないかな…



飛んで行った方向を見ながら 惷香はゆっくりと後ずさりをした







.

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