「私は貴方には用はありません
近寄らないで下さい」







惷香は近付く男に合わせて後ろに下がる








「あら〜嫌われちゃったみたいね
第一印象がそんな悪いのかな〜
メガネかな」








男は白衣を風に靡かせ 口元は笑いながらもメガネ越しの奥に暗闇を携えた目を惷香に向けた









ゾ………ク   !!








背筋が凍る


まさにこの言葉が似合う








「君さー……
どこから来たの?」







男は白衣のポケットに手を入れて尋ねる







「え あの…」








この男に自分の町を教えたくない

それは単純な女性なら当たり前と言うべきか
防衛本能。


ここは適当に…









「カムチャッカ村です…」


「カムチャッカ?
ふ〜ん 聞いた事ないなぁ」








男は空に目を向けながら顎を人差し指で抑え 考えている様子だった

普通なら嘘だと思うだろう…


惷香は変な男が寄って来たとゲンナリとした








「それはこの国にはないでしょ
君 どこから飛んで来たの?」





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