九
飛んで?
飛行機になんて乗ったつもりはない
むしろ 乗る訳がない
パスポートもない
「飛んでって…私は家から近くの林の崖から落ちただけです…!」
もう町がバレても仕方がないと思った
「崖?
そんなのどこにあんの〜?
君……
異空間から飛んで来たね」
この男
ヤバイ。
キモい。
「あ、あの私もう急ぐんで」
惷香は立ち去ろうと立ち上がり男の横を通り過ぎた
その時男の顔を近くで見た
その男は黒い髪にメガネ
そのメガネの奥の瞳は 黒い黒い
まるで烏(レイブン)のようだった――
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