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「よっ!『ヒロイン』!」


劇が無事に成功して、客席からはたくさんの歓声があがった。やりきったという実感がわいてくる。
いろんな意味でやりきったな。

みんながほっとして、最後の挨拶をした。
今だにざわめく客席。それを遮るように少しずつ舞台の幕が降りていく。
幕の裾が完全に舞台下についた瞬間俺は勢いよく座り込んだ。


「疲れた……」

『精神的にね……』


マリカもぐったりと棺に寄りかかっている。俺と目が合うと、さっきのことを思い出したのか顔を赤くしてそっぽを向いた。
さっきのキスシーンの時に、俺はどさくさに紛れて客席からは見えないようにマリカの服を引っ張って本当にキスしたから。
ヤベ、俺今きっとすげぇドヤ顔してる気がする。


「よっ! 『ヒロイン』!」

「……んだよコプチェフ」


ニヤけないように片手で頬をおさえていると、劇が成功して嬉しそうなコプチェフに絡まれた。肩に腕を回され、小さく耳打ちされる。


「舌入れてない?」

「ば、馬鹿野郎! そこまでしてねぇよ!」


こいつ、わかってやがったのか。
一本とられた俺は、ため息をついて頭をおさえた。





(おーいヒロイン!)
(よかったぞヒロイン!)
(ヒロインヒロインうるせぇ!)

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