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絶対成功させるぞ!


──当日。


俺たち役者は衣装に着替えて、他のパートよりも早く舞台袖に入っていた。大道具や小道具、歌パートの奴らはまだ舞台近くの体育館隅にスタンバイしている。


「みんな、練習よく頑張った! 本番で全部出し切るよ!」


担任のありきたりな言葉に、クラスの奴らが気合いの入った返事をするのが見える。
だが、俺はそれどころじゃない。台詞とんだらどうしよう、とかそんなことの方にばかり頭がいく。


「(大丈夫だ、落ち着け俺……)」


そう自分に言い聞かせ、軽く深呼吸していると、マリカが俺の方を振り向いて小さく声を発した。


『ボリスどうしよう緊張してきた』

「安心しろ、俺もだ」


ぐしゃぐしゃと金髪のヅラを被った頭を撫でる。少しでも落ち着けるように。


『ずれるっつの』

「緊張ほぐれただろ?」

『……うん』


実行委員の司会担当の放送で、俺らの学年が呼ばれた。全員が返事をして、役者以外が足早に持ち場についていく。
まだ僅かに緊張が残っているように見えるマリカ。
数秒、目が合った。

そして、それと同時に毎年のように用意されてる説明が入り幕がゆっくりと上がっていった。





(絶対成功させるぞ)
(うん)

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