「赤の方が映えるだろうな」

「だね」

「あーわかる」



三人が三人に納得する
言っている、意味が…わからない








「もったいないな」

「もう一年遅かったらなぁ…」

「一年後とか馬鹿言うな。俺たち卒業してるじゃねーか」

「あ、俺2年だからまだいる」

「黙れ」

色先輩、帝さん、マサさん
三人の言い合いに誰も言えずにいる

少し奥にいる生徒会書記が黙々とリボンを渡しているところが見える
書記さんのファンはみんな憧れが強くて
無言でリボン渡されてるいるけどすぐに「俺頑張ります!」とか結構男気全開の人が多い
俺もあっち並びたかったかも…




て、いうか…もう行っていいかな。




そう想ってリボンをとりあえず首から外しそうとした



「あ、憂ちゃん外しちゃ駄目だからね」

「え゛」


そのことに気づいた色先輩がすかさず俺を止める



「そうですね」

「自分で外すのはペナルティにしよう」

「えぇ…」

「そうだね。では皆さん、自分で外すのはペナルティとします。リボンを付けたまま3時間経ったら体育館にきてくださいね」


笑顔でルールを追加する副会長。
いいんですか。それで…。


「てめぇら、貰ったらすぐ結べ」

帝さんが面倒くさそうに言うと
すぐに騒がしくなった

「きゃー!僕のも結んで下さいー」
「僕も僕もー」


…うるさい……


「…雅、俺は飽きた」

「はあ…本当にわがまま」

「いーじゃん!セルフにしようよ」

「…そうですね…そろそろ時間ですし」



え、飽きたって何
てか時間が来たのは貴方たちが喋ってるからで…
セルフってちょっとまて。

明らかに俺の死亡フラグが…



「すみません。みなさん自由に取っていって下さい。貰ったらすぐ結んでもう逃げて構いません。9時になったら鬼が動きますので」


俺を睨む人がたくさんいる


やばい。


「せいぜい、逃げろよ」

帝さんがにやりと笑う
周りがざわつく。


最後に少し目が合った
こわ。


「憂…ドンマイ」

「ドンマイじゃねぇし」

「憂ちゃん。僕から離れないでね」


真哉は頼もしいな
そしてこんな状況の中生徒会にさっき放てる奴真哉くらいじゃないかな…



「とりあえず体育館から出よう」

「うん」

「だね!」





体育館から出てちょっとした森に俺たちは隠れた


ここは体育館の扉がすぐ見える
こちらの方が鬼の様子が伺えるので良いだろうっていう春の提案





「…すぐ見つかりそうじゃない?」

「…」


確かに…という雰囲気になる


「そうだ!木に上らないか?」

「へ?」

「そうだね」

「上にいるとは思わないだろ?」

「確かに…」

「すぐ降りて走り出せる高さがいいな」


いざという時に走って逃げたい



「この木でいいだろ」

「よしっ」


登るとすぐに
『ゲーム、スタート』
と、副会長の声が響きわたった

体育館はがやがやしだして一気に人が出て行った



最後に生徒会が出てきた



息をのむ




「どうするー?」

「憂、か?」


自分の話題だとわかると体が固まる


「田中くんって興味湧きますよね」

「だって帝さんの蹴り避けたんでしょ〜」

「ユウと被るしな」


「っ」

まだやっぱり疑ってるんだ…
やっぱ簡単には切り離してもらえないかなぁ…


「俺、ユウってあんま記憶にないんだよねぇ」

「だって君話したことないでしょう」

「あ、確かに。あと劉もだよなー?」

「あぁ、ないな」



…初めて喋ったところを見た
生徒会の侍、古里 劉ーフルサト リュウー




「でも、帝の蹴りを避けたなら興味がある」

「おっ劉が興味もつとか珍しい!」


全然嬉しくない!!



「で、俺は憂狙いで行くが…」

「俺も」

色先輩が即答する

真哉と春が哀れそうに俺を見つめる



「僕は適当に」

「劉は?」

「…適当に…」

「そうか、わかった」

「じゃあ俺憂ちゃん探してくる」


そう言って色先輩が走っていく


「あれ帝は行かないの」

「憂はそんな遠くに行ってない」


………え、


「なんで…?」

「勘だ」

「は、帝らしい」


クスクスとマサさんが笑う


「で、じゃあどうするの?」

「あたりを探す。雅もくるか?」

「もちろん」


(どうする)
(2人がいなくなったらすぐ移動しよう)
(了解)


小さな声で会話をする。
本当に小さな声で。
息遣いにも気を付けて、ばれない様に




「そういえばユウ、元気かな」

「ん?あぁ」

「何その気のない返事」

「なんか、ユウがいなくても憂がいるから」


「何それ。ユウはもういいって?」


………両方俺だけど…俺を否定されたことには違いない…



帝さんは違うと思っていたのに
いつでも、俺に居場所をくれる人だと思っていたのに





「んな、怒るなよ。雅」

「…」

「ただ、憂とユウは同じに俺は思えるから」

「同じじゃ…」

「ないかもな。でも俺が必要としてるものを二人が持ってる」


帝さんが、俺を必要としている…?


「だから、何」

「どっちも俺のだ」




(モテモテだな)
(馬鹿言うなっ)



カサッ


っ!!



「ん?」




やばい。今、枝を揺らした…







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