『はい。ではステージに並んで上がってきて下さい』



はっ!?



「うそっ!」
「生徒会の皆様と間近で!」
「まじ?!」
「夢みたい!」



ステージの上には生徒会役員がいるわけで…
ステージの上に行くということは、つまり目の前で生徒会というわけだ。


っても目の前に生徒会とか、クラスメイトはよくあるだろう。
何をそんなに喜ぶのか。


学年が違う奴とかか。


なんだか、気前良いな生徒会




「うっげー生徒会とかやだあ」
「シー!真哉聞こえるって」


生徒会に聞こえるのは別にいいが、目の前にうじゃうじゃといる親衛隊に聞かれるのはよくないだろう。怖いし。


「聞かせとけって」
「春…」


こんなこと言って潰されないのは真哉だから。人気者は強いよなあ。


あれ?春は?別に、人気者ってわけでも…ないよな……なんで、だろ。



「では、一年生からどうぞ」


副会長であるマサさんの声が聞こえて、俺は考え事を中断し、生徒会の方へ目を向けた。生徒会の手にはリボンが握られていた。


何に使う気だ。



「このリボンを腕、首どちらかに結んで下さい。【鬼】にリボンを取られたら【子】は【鬼】のものになります」



「鬼、のもの…」


嫌な臭いがぷんぷんする…。
誰かのモノになるということは、つまり、だ。


「そう、」


マサさんが俺を見る。マサさんの瞳は心臓に悪い。すべてを見透かされる、そんな気持ちになる。


「捕まった【子】は【鬼】のもの。ですから【鬼】の言うことを一つ、何でも聞きます」


「まじでか」

真哉が顔をひきつらせていた。彼はバリタチだと自分で言っているが、抱かれたいなんて言われている。つまり、それ相応のことを願い事されてしまうであろうことは簡単に想像がつくのだ。

その反対で期待に満ちた声をあげる人物がいた。

「面白くなってきたな」
「春…?」
「そんなことなら僕鬼になって憂ちゃん捕まえたかったなぁ」
「…何言ってんだ。てか春何が面白いんだよ」


真哉の言うことは現実逃避だ。
そんなことより、この状況で面白いなんて言える理由が知りたかった。


「だってさ、普通ゲームってゆーのは双方が楽しむものなんだよ。鬼に褒美があるから俺たちに立ってあるのが道理ってもんでしょ」

「褒美?」


マサさんがこちらを見て、小さく微笑んだことに俺は気づかなかった。


「【子】は逃げ切れば生徒会でかなえられることを何でも一つ叶えましょう」

「……、」


そういうこと、ね。


「まじっ」
「何にしよう!」
「生徒会1日独占とかぁあ?」


これは、割りに合わない勝負だ。


『【鬼】のみなさん。もし、【子】を捕まえたら言うこと一つ聞いてくれますよ。がんばってください』

マイクを通して同じ内容を後方にいる鬼に伝える。


「まじかっ!」
「モえるー!」


よく見ると鬼はがたいの良い人たちが多い。人数もあちらの方が多そうだし。

タチってのは案外噂だけじゃなさそうだな。



「話にならない」
「真哉、」

「ちょっと褒美が曖昧すぎるかな。あいつら全員から逃げ出すこと自体がかなり難しいしな……やる気あんまでないな〜」


春と真哉が呟く。なにより生徒会から逃げるのは簡単じゃないし、鬼とは体格差が明らかだ。

最初が肝心だ。どこに、隠れるか。
どこにいればギリギリまで見つからないか、そして見つかったあとに逃げやすい場所じゃないと……


「さぁ、A組からどうぞ」


マサさんの声が聞こえてはっとする。
生徒会の方が持っているリボンの色は青。学年で色分けをしたようだった。


「次はB組ですよ」


真哉が先頭に行く。
ステージには生徒会4人がいて、みんながリボンを持っている。適当に列に並ばされて生徒会からリボンを貰い受けるという形だ。

あまりの生徒会の近さに泣いてるやつとかいるし……違う意味で俺も泣きそうだ。



前を見ると真哉はたまたま会長の並びだったみたいだが、会話はよく聞こえなかったが、なにやら不穏な空気なのは遠くからでもわかった。


「手、出させませんから」
「はっ言ってろ」



俺は、副会長の列だった。比較的安全な人で俺は安心した。安全なんてあるわけないのに。


「ありがとうございます」
「田中くん」
「はい?」


頭を素手で撫でられた。
その感覚が久しぶりで、俺は彼が高嶺の花であることを忘れてしまった。


「頑張って下さいね」
「、はい!」


マサさんはやっぱり優しい
手が、あったかい…


「んだ、雅。素手でこいつ触れんのか」


懐かしんでいると隣の帝さんが声をかけてきた



「えぇ、帝。みんな待ってるから戻って下さい」

「…ちっ。憂、逃げ回れよ」


ニヤッと笑って帝さんが言う
まわりがざわつく


「あー…」

非常に逃げたい




「あ、ちなみに俺が憂ちゃん捕まえるから」

「へ」


スッと副会長がくれたリボンを奪った色先輩
なんであんたが声かけてくるんだ。
ひっこんでてくれ!!



「は?」

「色、あなた田中くんに逢ったんですか?」

「うん。昨日、ね?憂ちゃん」

「う…ぁ……はい」



色先輩はそのままリボンを俺の首に巻いて結び始めた


「ちょっ色先輩。何してんですか」

「苦しくない?」


まるでシカト


「苦しくはないですけど、」

「よし、うん。可愛いよ」

「はっ?」


首には青のリボンがかわいらしく結ばれていた





「あぁ、似合いますね…でも」
「あぁ…」
「あれだな…」



俺を見る三人
四人いる生徒会のうち三人がこちらを見る






みなさん、列がつまっています











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