(何時か魅た夢の続きを対)
ボンッと大きな音がした。
僕には珍しく油断していたんだ。
何故なら珍しく、本当に珍しく君から応接室に足を運んでくれたから。
僕からの呼び出しでもなく、用事があるわけでもなく。
君自らが望んで来たんだからね。
だから後ろから飛んできた“何か”に気付くのが遅れた。
でも確かにこの腕で、君を庇えたはずだ。
君に傷を付けていいのは、僕だけだよ。
「恭弥さん?」
もくもくと煙る煙。
まだ視界ははっきりしないけれど、不快だ。
僕の許可もなく勝手に名前を呼ぶなんて。
どんな馬鹿な草食動物か知らないけれどね──
「誰?咬み殺すよ」
煙の中から見えない獲物の影を確認して、躊躇いなくトンファーを振り降ろした。
ドサリと音が鳴った所で。
初めて確認した獲物。
ぱちくりと動く見覚えがあるような、ないような仕種。
黒の綺麗な髪が畳に広がり。
びっくり、という表現がぴったりとする表情の女子が。
首元にトンファーを突き付けられて、僕の下に倒れていた。
いや、僕が押さえ付けていた、の方が正しいんだけど。