その状態のまま周りを見渡せば、そこは僕の大好きな並盛中の応接室ではなく──
「ワオ、此処は何処?」
広さとデザインは僕好みの、広い和室だった。
「え?恭弥さん……まさか十年バズーカ?」
見知らぬ女子が同じ間違いをこれ以上繰り返さないよう、トンファーで喉元をグッと押さえ込む。
その白い喉元がコクリと唾を飲み込んだのが分かった。
「誰か知らないけれど、僕を名前で呼ぶ許可をした記憶はない」
「す、すみません。……“雲雀さん”」
この女子は自分の立場と状況を理解しているのだろうか?
言葉こそ謝ってはいるが、その表情は驚きから微笑みに変わっている。
イライラした。
何、その余裕。
僕を目の前にして笑うなんていい度胸だ。
「君、何様のつもり?」
「何様でもないんですが。本当にすみません、雲雀さん」
上手くリンクしない会話。
まだ呼び方の事を言っているのだろう。
何だか馬鹿らしくなってきた。
僕は溜息をついて、たいして咬み殺しがいもなさそうな女子の上から身体を退かす。
が──
「……本当に何様なの?」