□高尾
「それでね、本屋に言ったら黄瀬くんの新しい雑誌出ててね!」
口を開けばそればっか。
幼馴染みであるこいつはあのキセキの世代の黄瀬が好きらしい。
「ねえねえ、和くんは知ってるかなあ?和くんバスケしてるから当たったことあるかなあ?黄瀬くんにもし会ったらサインもらってほしいなあ!」
「なーんで俺がサインなんかもらわなきゃいけないんだっつーの!」
「いーじゃーん!可愛い幼馴染みのためにサインくらいもらってきてくれても!」
男の俺が同い年の男にサインもらうなんて、というよりこいつが好きだという男のサインをなんでこいつのことを好きな俺がもらわなきゃいけないんだっつーの。
「大体サインくらい普通にくれんじゃねーの。クラスの女子が言ってたし。」
「普通にくれるなら和くんもらってきてよー!」
「あーはいはい、じゃあ会う機会があったらもらっといてやるよ。」
「ほんとに!?ありがとう和くん大好き!」
大好きだなんて言葉、本当に好きなやつのためにとっといてやれよ、とか言ってやりたかったのに素直に喜んでる自分がいて。
(人の気も知らないで)
(和くん妬いてくれたかなあ)