□菅原
「…あ、メール…」
今日出された宿題を黙々と片付けノートを滑る筆記の音だけが響いていた部屋で机の上に置いていた携帯が小さく震えた。
「菅原くん…」
『今日出た宿題、もうやった?明日そこ当てられるだろうからやっとかないと恥ずかしいぞー。』
「……あ、えっと…『もうやってる』と…。あ…でもこれじゃ素っ気ないかな…せっかく注意してくれたのに…、うんと…」
わざわざ私なんかの返事を待ってくれてはいないだろうけどなんとなく急いで打ち直して送信した。
「『わざわざありがとう。今やってるところだから大丈夫!』…これで…大丈夫だったかなあ…」
少し不安にはなったがすぐに返事が返ってきた。待たせてしまっていたのかと考えてしまって焦る。
『もしよかったら明日答え合わせしないか?朝練終わったらで申し訳ないけど』
「…ひゃー…き、緊張する…」
特に緊張することでもないはずだけど私のためにそんなことをしてくれる菅原くんのことを考えたら心臓が煩くなって。
私は不安定に震える指で「よろしくお願いします」とメールを送るのだった。