始まりの始まり。


 小学校低学年の頃でしょうか。

 私はいつも決まった時間に私の家の前を通るお兄さんを見ていました。
 あの頃はそのお兄さんが私のすべてだと言っても過言ではなく、今考えると好きだというよりはむしろ崇拝に近かったような気がします。

 さて、そのお兄さんを1年2年と見るようになってからふと私と同じ目を持つ人に出会いました。
 私と同様お兄さんに対し尊敬のまなざしをもつその男の子は私と同じくらいの年齢で、いつも決まった時間に私と同じように家から顔を出してお兄さんを見るものですからすっかり仲良くなりました。

 お兄さんの名前を知ることは出来なかったのですが男の子はそのお兄さんのことを「たっくん」と呼び慕ってましたので私も同じようにそう呼んでいました。
 男の子は1つ年上だったので『たっくん』のいる学校へ私より1年早く行けることがとても羨ましかったのです。

 彼の通う黒曜中学はシンガクコウというものでそこに行く人は皆『たっくん』のように格好良かったことはとても印象的でした。
 私ももちろん『たっくん』と同じ学校に行きたいと思っていました。 私が同じところに入ったら一緒に学校に行こうねと一緒に約束をして、私は結局その約束を最悪の形で果たせずにいたのです。

 そして、今日という日を迎えたのでした。


 ―――ハイ、始まり始まり。

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