君に一番綺麗な/リマセブ【グロ注意?】
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まさかそんなことになるなんて、おもってなかったんだ。
ただ、君に似合うと思って。


「セブルス!」

僕は猫背な黒髪の彼を呼び止める。
彼は不機嫌そうな顔で振り返りなんだ、と口を動かした。

「君をとっておきの場所に連れて行きたいんだ」






クリスマス休暇、僕とセブルスはある丘へ来ていた。
雪で化粧をした野原はただ白かった。

「………。」
「綺麗でしょ?セブ、白くて。」
「ああ、白い。」

ザクザクとスノーブーツで雪に足跡をつけては、その跡に手を這わせ輪郭をなぞる。
しゃがんだときに流れた髪の隙間から覗く、雪にも負けない白い首がいつにもまして艶めかしく、それと対照的な薄い唇の赤が、



きっと僕は狂乱しくなった。
白い雪に花を咲かすように広がった赤は、赤ではなく紅くて、
でもそうじゃない、
緋くて。


どうしようもなくあかくて雪が光に反射してあかくきらきらした。


「ルーピン?」

ぼたぼたと首から血を流しながら僕に話しかける。
セブルスがあかくてかわいくて、
今の状況を理解出来ていないのが滑稽で、それでもまだ血はぼたぼた、マフラーもあかく染め上げていく。

ざくっと雪の上に膝をついて首に手を当てる。
生温かいあかい血が手に着いたのを確認すると、セブルスは顔を歪ませた。

「ごめんねセブ、なんでこんなことしてるのか自分でもわかんないんだ。痛いよね、苦しいよね。でも、止められない。」
「ルーピン」

二回目に杖をふったときは、もっといっぱい雪に花を咲かせた。

あかがいっぱいきらきらひかって、霞んでいく目に美しく映った。

「ルーピン、や………やめろ、」
「ふふ、セブルス。あかい?赤い?紅い?それとも、緋い?」
「やめろ!」

セブルスも杖を構えた。
でも僕に向けて振ったりはしなかった。

「セブ、」






丘から転げ落ちた。
遠ざかっていく君を視ながら僕は笑った。





「綺麗でしょ」




おちてきた滴は少ししょっぱくて、あったかかった。


















その日、あかい花が丘一面に咲いた。
その花の名前は



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