寄り道/ジェセブ
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マグル学パロ






「え?セブルス、ファストフードとか食べないの?」

今日も僕は放課後、HRが終わると同時に隣のクラスへ来ていた。
セブルスの机に直行し、帰り支度をする様子を見ながら、ぽつりぽつりと話すうちにこんな話になった。

「ああ。というかポッター」

ふと手を止め、こちらを向く。

「何?」
「帰り支度の邪魔だ。失せろ」
「………なんかさ、もう少し優しく言えない?」
「無理だな」
「ひどい………」

冷たい言葉を吐く愛しい人を、眉を下げて見る。
そんな僕の視線などガン無視でバックに荷物を詰めるセブルス。
僕のぺたんこなバックとは真逆のバックをつくっていた。

「ねぇそんなに何を持って帰るの?」
「教科書に決まっているだろう。」
「そりゃ、そうだけどさぁ」
「生憎貴様と違って僕は自主勉強しないとテストでいい点数をとれないのでね」
「今誉めた?」
「死ね」
「いたっ」

セブルス様から教科書で制裁を下される。
叩かれた頭をなでているとクスッとセブルスが笑った。

そう、その顔…。大好き、が一気にこみ上げてくる。
きっと今僕は最高に笑顔だろう。

「気持ち悪い顔を見せるな」

セブルス様の感想。
僕、普通よりかっこいい方だと思うんだけどな?

「………なんだかんだいってさ」
「何だ」
「セブルスって僕のこと好きだよね」
「はあ?」

心底呆れたような顔で僕を見るが、そんな事はおかまいなしに笑顔で続ける。

「だってさ、僕の言葉にいちいち返事してくれるじゃん」
「そりゃ、お前が返事しないといつまでもうるさいから…………」
「ね?」
「………何だよ」
「セブ、可愛い」
「はっ!?お前、何言って………」
「ねぇ、今日一緒に帰ろう」
「…いつも勝手についてくるだろうが」
「寄り道していこうよ」
「………どこへ」
「ファストフード店!」



















僕はポッターに連れられるままに道を歩いていた。
普段ファストフード店なんて行かないし、興味もない。
だからそんな店が何処にあるかなんて知らなかった。
いつもの帰り道から少し離れた道を歩く。

「っ…ポッター!速い………」

いつもは僕にあわせてくれるのだが、何故か今日は足早にどんどん歩いていってしまう。
ムカつくが、奴は背も高いし足も長いので僕とは自然と歩幅の違いから距離の差が出てくる。
奴に追いつくため、自ら歩幅をあわせるなんて事はしたくないので先を行く背中に叫んだ。

「ご、ごめん!なんか、興奮してた」
「何が興奮だ。人を連れてきておいてエスコートも出来ないのか貴様は」
「何?エスコートしてほしいの?」
「気遣いも出来ないのかときいている馬鹿め」
「あぁ…さいですか」

睨みつける僕に手を差し出すくるくる眼鏡、何がしたいと聞けば荷物を持つと言った。
結構重かったのでこの申し出はありがたかった。
なので遠慮なく膨れ上がったバッグを渡した。

「うっわ…重。何入ってるの?」
「教科書だ」
「さっきも聞いた」
「なら聞くな」

口を尖らせながら僕のショルダーバッグを肩に掛ける。
重さで一瞬奴の体が傾いた。

「落とすなよ」
「酷いなあ感謝くらいしてよ」
「お前が無理やり連れてきたんだ。当然だろう」
「でもちょっとくらい」
「今すぐ僕は帰りたいんだ。なのに大人しくお前について行く僕の方にこそ感謝すべきだろう」
「なんだよ…」

ふん、と鼻を鳴らし顎で早く進め、と指示する。
くるくる眼鏡は歩き出した。

「なあその『ファストフード』ってどういう食べ物なんだ?」
「………実物も知らないのか」
「は?」
「いやいや。うんとね、おいしいものだよ。今から行くのはハンバーガーショップだけど、ハンバーガー以外にも色々あって………」
「文章力が足りないぞ首席」
「うるさいなあ…。君みたいに本の虫じゃないの!どちらかというと体育系なの!」
「わかった、もういい、黙れ、うるさい」
「…ひどいなあセブルスは………」
「ふん。今に始まった事じゃない。」
「そんなとこも好きなんだけどね」
「なっ…!?」

あははっと無邪気に笑うくるくる眼鏡。
嫌いだ。
だいっきらいだお前なんか!
思いっきり睨みつけたって、僕の方が背が小さいので全然迫力がない。
余計にむかつく。

「魔法が使えたらなぁ…」
「何?何で?」
「お前をありんこにしてしまえるのに」

それっきり僕は口を閉じた。




続きます


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