きりきりきゅうん【藤←椿】
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「君が藤崎といると変な感じがする。」

夕方の生徒会室で、椿君にそう言われた。

「わたくしと藤崎君との間にはなにもありませんよ」

にこりと微笑むと椿君は眉間にしわを寄せ、拗ねたような顔になった。

「君だけじゃない、鬼塚や浅雛や…安形にも、そうなった。」
「そうなった、といいますと、変な感じがなさるのですか?」
「ああ…。なんだか、胸がくるしくなるというか」
「つまり、藤崎君が誰かとご一緒だと胸が痛むのですね?」

椿君は一瞬躊躇ったが、こくりと小さく頷いた。

「椿君、それは世間一般で言う、嫉妬ですわ」
「嫉妬?なぜボクが藤崎に嫉妬しなければならないんだ」
「うーんとですねぇ………」

キョトン顔からすぐにまた眉間を寄せて聞いてくる。
それにわたくしはなんとこたえたらよいものか少し悩んだ。
わたくしの考えが間違っていなければ、もう答えはでているのですが、おそらく椿君はその答えを否定するだろう。
彼がこの答えを受け入れるためには、彼自身でこの答えにたどり着かなければいけない。

「椿君は、藤崎君にだけ、そのような感情を抱くのですよね?」
「ああ。正確には、藤崎と一緒に居る相手に、だが。」
「ふむ………。」

やはりわたくしの考えは間違っていないようです。
ですが、上手い伝え方が見つからずに時間だけがすぎていってしまう。
ここは直接言うべきでしょうか?

「椿君」
「なんだろうか?」
「本人に伝えてきてはいかがでしょうか?」
「…藤崎にか?」
「ええ、ボク以外とは仲良くしないでくれと。」
「なんだそれは。まるでボクが藤崎を独占したいような言い方じゃないか。」
「実際そうなのではないですか?」
「………」

椿君はばつの悪い顔をしてうつむいてしまった。
あらら、とあわてるわたくしをよそに、前の席の宇佐美ちゃんはシャーペンをくるくると回している。

「わかった」

突然椿君が立ち上がり声を上げた。

「藤崎に言ってくる。」
「…ええ、独占したいと?」
「ち、違う!断じて!ただ、その、あれだ。」
「あれですか。」
「そう。あれだ………。」
「お気をつけて」
「ああ」

ばたんと生徒会室の扉が閉められたらと同時に宇佐美ちゃんのシャーペンがぴたりととまった。

「先輩、あれって藤崎先輩に恋してるってことですよね。」
「ええ、おそらくは。」
「兄弟にですか?」
「あら、ご存知でしたか?」
「あの二人、そっくりなので。自然にわかりました。」
「そうでしたか。まあ、いいんじゃないですか?兄弟同士では、結婚は認められていませんがお付き合いは禁止されていませんから。」
「………そうですか。」
「あら、宇佐美ちゃんはご不満ですか?」
「………不満なのは丹生先輩のほうじゃないんですか?」

その言葉にどきりとした。

「宇佐美ちゃんは物知りですね」
「いえ………。見てただけです。」

宇佐美ちゃんの頭上で揺れるリボンを眺めながら、わたくしはつぶやいた。








藤←椿←丹←宇
すごいねこれ。
丹椿が好きです。みもりん好きです。
宇佐美ちゃんの漢字を調べなかったので間違っているかもです。
違ったら後日直します。



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