赤い騎士 | ナノ



05







私が後をつくのも不機嫌そうに見ている青年。

そりゃあ護衛ですから。



「だから、なんて呼べばいいんだ、青年」

「青年は止めてほしい」



そうか、気に入ってたのに。



「…どうせまたすぐ変わるんだろう」



ぼそっと聞こえないように呟いたつもりだろうが

丸聞こえだ。ま、私が地獄耳だというのもあるだろうが。



「そこらの口だけのヤツと、一緒にしてもらっては困る
私は一流の殺し屋だ」



味方についたことに、嫌でも感謝するさ、その内にでも。

と付け足せば、訳が分からないと言う。



「青年は素直じゃないな
人を信じるのも、大事だぞ?」



部屋に着いたらしく、扉を開け無言で鞄を下ろした青年。

着替えだろう、後から来た私は扉を閉めて背を向ける。

背を向ける時に、驚いたような表情をしたのは見逃してはいないぞ?



「それなりの礼儀くらいは、ちゃんと持っているぞ?」

「当たり前だ」



人の着替えを見たって、楽しくも何とも無いしな。

まったく、私を何だと思ってるんだか。

初対面の人でも、そこまで警戒しなくたってよかろうに。

ふぅ、と溜息が出れば、青年の視線を感じた。










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