赤い騎士 | ナノ



57



(有人視点)



今日は、名前も知らない護衛係がついてきた。

ディルと同じように、無愛想だった。

でも、まだディルの方が人間らしいというか、角がないというか。

まあ、ディルも来たばかりの頃は笑ったりもしなかったから、似たようなものだけど。


ディルが昨日の夜出ていってから、ディルとは会っていない。

何かあったんだろうか。

ひょっとして、戦闘にでもなったんだろうか。

他人ごとかもしれない、でもディルが俺の為に仕えている限り、俺にも責任がある。



―――――絶対、守ってみせる。



物凄く自信有りげにそう言ったディルだから、信じたい。

でも、あいつだって人間なわけだから…

顔を合わせられないくらい、酷い怪我でもしているんだろうか。

今日ついてきた護衛係に聞いてみても、何も答えてはくれなかった。



「ディル、か…」



父さんの知り合い伝いで、ディルとは知り合った。

体術や護衛術を身につけていて、SPのような仕事をしていると聞いた。

それで、それで…


俺の為に、あいつは命をかけてくれているというのに

俺は、あいつのことを何も知らない。


可笑しいな。

今までは、護衛係なんかと仲良くなるつもりなんて毛頭もなかったのに。


俺は、何をしたらいいんだろう。

いや、何もしないべきなのか?

いくら悩んでみても、答えは出てこなかった。




―――――おう、有人。




「帰りましょう、ユウトサマ」



帰ったら、リュカと一緒に

あの、偶にしか見せない妙に人懐っこい笑顔で迎えてくれることを信じて、帰ろう。





 




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -