赤い騎士 | ナノ



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体温から人の位置を探知できるゴーグル越しに見ても、ヤツの姿は何処にもない。

自分が幻術を使うから、慣れているとはしても

幻術というものは、実に厄介だ。



とにかく手当たり次第にナイフを放ち、幻術の幕を破っているのだけど、ゴールが見えないのだ。

しかし、トレイズが成長したように、私もあれから成長している。

綱吉曰く、鬼の家庭教師にしごかれたのだ。

いつも困った事があると、「そんなことぐらい自分で考えろ馬鹿弟子が」と、叱られてばかりで。

でも、所々にヒントを出してくれて。

それが絶妙なタイミングだったりするから、びっくりなのだけど。



今師匠が居たら、なんて言うんだろう。



―――――行き詰まったら発想をかえろ。

一つの見方に偏ったら、答えは出てこねぇぞ。



そんな感じか。


って何暢気に考えてるんだ、と自分に突っ込みを入れるべきなんだろうが、

私の場合、こうやって考えた方が突破口が開ける人間だから。

うん、今何かが分かった気がする。



「幻覚が続いてるんじゃない」



私は目を瞑り、ベストから取り出したロッドで空中に魔方陣を描いた。

すると、一瞬にして平行間隔が失われるような気持ち悪い幻術の世界が消えた。



―――――幻覚なんて、とっくに解けてたんだ。










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