赤い騎士 | ナノ



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私もトレイズの後へ続いて、ハッチからアーチの上へ飛び出した。

すると、外は異様な程歪んだ空間が広がっていた。

私は平行感覚を失わないように、一度目を瞑り、耳を澄ませた。



「まあ、惑わされないようにするのが一番いい手だと思うけどさあ
ここはボクの世界だからね?」

「だからだ、馬鹿野郎」



お前の幻術はめんどくさいからな―――――と、付け足すように言う暇はなく

目を開けると、炎に包まれたナイフが、真っ直ぐに飛んできていた。

右、右、前、左、後ろ、左、右、後ろ、後ろ、前、右、ひだ…り?


いや、違う。



最後のナイフだけ、私を貫通するように通り過ぎて行った。



「これは幻覚、他は有幻覚、だな」

「ディルさんの戦い方、真似してみたんだ
あは、びっくりしたあ?」

「私の場合は弾丸だ」

「うん、そうだけどね
そんな真顔で否定しなくたって…スマーイルスマーイルー〜」



両手で弾丸を放ちながら、気でコントロールし、作り出した幻覚の弾丸を中に混
ぜ、放つ。


骸さんから教わった、単純且つかなり上手な、私に合うようにアレンジした技だ。

わざわざ、人の真似をしてくるとは



「本物、見せてやろうか?―――――クソガキ」

「そうこなくっちゃね!」



世の中に完璧な人間は居ないと、師匠が言ったように

トレイズの場合、幻術は高度だが、持続性が無いため、幻覚の所々に穴が開いている。

そこに太もものベルトから取り出したナイフを突き刺すと、ミシリと音をたて

ドーム型に作られた幻術が壊れていった。

さあ、何処だ。



―――――鬼ごっこは終わり、だぜ?



辺りをぐるりと一周見渡すと、また同じ世界が広がっていた。


くそ、やられた。











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