赤い騎士 | ナノ



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ナイフにあたる風によって、微かに聞こえる音で

ナイフとの距離感を掴み、避けていく。

段々と暗闇にも慣れてきて、視界がはっきりとしていく。

くそ、ヤツは何処だ。


シャッターが全て閉まり、閑散とした商店街に、ナイフが風を切る音と、私の靴が地面を蹴る音だけが響く。

あまり音を立てると、自分の場所がばれてしまうから、出来るだけ慎重に軽くステップを踏むように移動する。

ナイフは一直線にしか進まないため、飛んできた角度から考えると、ヤツは―――――上の方にいるようだ。

まずいな、敵が上にいるということは、圧倒的に不利な状態にある。

何故なら、敵―――――つまり私の位置を確認しやすいということ。

さらに大事なことは、重力によって上から落ちたものは下に落ちるにあたってスピードがはやくなることから、

相手の攻撃力が上がるということだ。

場所は商店街、ならば上には鉄筋で組まれたアーチがのっているはずだ。

つまり、ヤツはアーチの上を飛ぶように移動しながら、私を狙っているようだ。



「ねえ、ディルさん」

「なんだ?」

「うん?その様子だと、まだ本気は出してないみたいだねえ
さっすが―――――ぐっ」

「ぐっじょーぶ★てか」

「もーう、ボクのセリフ取らないでよお」



にひひっと笑う声が聞こえた。

私は足を止め、ベストの中身を指で探りながら確認した。










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