赤い騎士 | ナノ



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「Ciao よく眠れたか、有人」



鼻に付くほどではないが、良すぎる発音。

朝、着替えを済ませて食堂に向かうと

昨日とは少し違う、長袖シャツにハーフパンツ、黒のベストに帽子を被ったヤツ

ディルがいた。



「随分と早起きだな」

「私にとっては普通だ」



弁当、出来ているぞ、とテーブルの上の弁当箱を指差され

いつもは使用人が作っていたんだが、と答える。



「時間が無いし、有人から離れられないからな
夕ご飯と掃除洗濯は任せることにした」



朝食だ、とテーブルに並べられた料理。

温かいミルクティーに、マーガリンの塗られたトースト

サラダにスクランブルエッグと、ブルーベリーソースのかかったヨーグルトと

かなり普通のもの。



「普通、だろう?」

「あぁ、あれほど偉そうに言っていたわりにはな」



朝はバランス命、らしい。



「まぁ有人、早く食べろ」



ディルに促され、

席につきトーストを掴み、口に入れようとして、ふと気が付いた。



「……………お前は、どうする」

「私はもう食べた」



素っ気なく答え、ディルは弁当を包み始めた。

昨日会ったばかりなのに、この存在感、もう溶け込んでいる気がするのは

気のせいではない、はず。










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