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さっきからせっせと机に向かう彼女を見てはぁと溜息を吐く。折角俺の家、それも俺の部屋に居るっていうのにやっていることと言ったら夏休みの宿題だ。いや、宿題しようって誘ったのは俺だけど。(だって何か口実が無いと家に招くなんて俺にはできない)
つう、と額から汗が伝うことにもお構い無しに彼女はひたすら目下の数式とにらめっこ。その視線は真剣そのもので、俺の入り込む余地は無かった。変なことだけど、正直宿題が羨ましいなあなんて。俺だってあんなに見つめられたこと無いのに。宿題ばっかりやってないで俺を見て、そう一言言えれば良い話しだけどでもそんな勇気俺にはない。サッカーに関してならまだしも、れ、れんあい、なんて俺にはまだ。勇気なんて名前だけじゃないか。またひとつ溜息を吐いた。

「つまらない、って顔してるね」

図星でしよ?いつの間にか顔を上げていたらしい彼女はくすくすと笑った。やっぱり、敵わないな。俺は無言で首を縦にふる。彼女は勉強道具もそのままに俺の目の前に移動してきた。え、その言葉は喉の奥に押し込まれた。彼女の細くて白い腕が俺の首に絡んで…?何っするんだっなまえ!?

「なまえ、ちょっと何して」

言葉が遮られた。何事かと思って目を見開くと目の前には彼女の顔が一杯に広がった。口元には柔らかくて生温かい感触。…これって、き、き、き、きす?

「暑さにやられたのかな、私」

口元に触れていた彼女のそれが離れた。名残惜しいなんて思っている俺もどうかしているだろうか。ほんのりと顔を赤らめて彼女はまた笑った。今日はいつになく積極的だ。本当に暑さのせいなのかどうかは分からないけれど。
ぎゅっ、今度は俺から抱き締める。強く、強く。密着すればするほど熱くなるけど、それが彼女の熱ならば関係ない。寧ろ彼女の体温ならば全て共有したい。そして、同じようにきすをする。離れないように頭の後ろに手を添えてしっかりと押さえて。
数秒か、もしかしたら1分。短いようでとても長くきす、をしていたみたいだ。少なくともさっきよりはずっと長い時間。回していた手を離すと彼女はゆっくりとそれを離した。荒い呼吸を整えてから、何するの、と小さく呟いた。

「仕返し。さっきなまえもやったから」

そう言って笑うと彼女はふいと顔を背けて宿題に視線を戻した。じとっと穴があくほど見つめていたら、ついに耐えきれなくなったのかさっきの俺みたいに深く溜息を吐いて再び俺に向き直る。

「やけに積極的ね、勇気」

「なまえこそ」

へなりと笑って、どちらからかは分からないけどまたきすをした。

こんなに彼女に近づけたのはもしかして初めてじゃなかったっけ。きす、なんて今までしたことなかった。勇気を出して家に招いてみて良かった。
そんなことを思いながら二人で宿題に向かう、夏休みの昼下がり。





気温上昇
(夏だから?)(君がいるから?)







〜ο〜ο〜ο〜
杏様へ捧げます!
ご本人に限り、お持ち帰り・返品・書き直し注文フリー!

あの…甘ってナンデスカ。
すみません、ぜんぜん甘くなりませんでしたorz
甘いのは書けないみたいです…。
こんな微妙な物で宜しければどうぞ^^

キリリクありがとうございました!


090822



あああ、ありがとうございます!!
立向居!!

返品なんて、書き直しなんて…
ありがとうございます!

受け取るの遅くなってすみません;;


     杏



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