Get&Gift | ナノ

世間一般的に恋人同士という関係だってことくらいわかってる、だからってやっていいこととやっちゃいけないことがあるってことくらい僕にだってわかる。けどこれは、やり過ぎた。別に君が悪いわけじゃないし僕だってやろうと思ったわけじゃない、事故のはずなんだけどな。馬乗りになって見下ろす僕と、物理的に言えば僕の下で目を白黒させているなまえ。

効き過ぎた冷房に温度が下がった部屋でなまえは冷房を切るわけでもなく後ろからくっついてきて、


「寒いからくっついててもいいでしょ?」


なんて誘い文句を笑顔で言うものだから手を出すのを我慢してじっとしていた、これが最初の間違い。いつもみたいに、いつも以上にじゃれついてくるなまえを離そうと実力行使。これがまた間違い。華奢な体は体重差で負けて簡単に反転しこの様だ。僕は構わないけど彼女が嫌がることはできないから何もできずにいる。


「あ、の……」

「何?」


控えめな声音と落ち着きのない右往左往する視線に、少しだけ芽生えた悪戯心で顔を近付ける。


「ちかい、と思うんだけど…顔」

「そんなことないよ」

「…こうしてると、吹雪くんしか見えないねって」

「じゃあどうして逃げるの?」


またもそんな誘い文句を呟きながら顔を反らそうとするから、両手で頬を挟んで無理矢理上を向かせる。それでも抵抗するわけじゃないから、逆に顔に熱がたまって息がつまる。一秒はこんなにも長かっただろうか。自然と顔が近付いて、もう息が掛かるほどの距離。


「吹雪君はね、」

「もう少し強引でもいいと思うよ」


そう笑って言うと僕のマフラーを引っ張って、短く触れたそれ。


「焦らすのは好きだけど、焦らされるのは嫌いだな」


彼女はどうやら奥手で、僕より策略家だったみたいで、思い切り彼女の唇に噛み付いた。






(笑って言うのに、一度だって誘ったことはなかったでしょ)





Thanks2000Hit/杏様へ
(090805)


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受け取るの遅れてすみませんっ

きゃー めっちゃかっこいいですさすが吹雪くん★

応援のファイヤトルネード、ありがとうございました!!

        8/9 杏

 



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