01 -始まりの音-
「今日も疲れたなー」
「うん、やっと終わったって感じだよ」
頭の後ろに腕を組み、疲れたというわりには楽しそうに笑っている山本。
その隣では綱吉が、溜息を吐きながら、疲れた身体を無理矢理動かして歩いている。
「でも、なんか平和だったよね」
「あぁ、獄寺が居ないとこんなに静かなんだな」
悪口ともとれるような答えを出した山本に、綱吉は心の中で賛成しながらも、苦笑する。
綱吉、獄寺、山本の三人は、普段から行動を共にする仲間である。
運動、勉強は壊滅的。
その他なにをやっても駄目。
そんなある意味天才的な才能を持つ綱吉は、元々人との交流は少ない人間だった。
しかし、中学に入って直ぐ、彼の人生をも狂わせる出来事が起こる。
それは綱吉の家庭教師と名乗る、イタリアンマフィア―――――リボーンとの出会いだった。
リボーンが所属するのは、ボンゴレファミリー―――――イタリアンマフィア最強のファミリー。
マフィアの世界で、歴史、規模、伝統、格式、全てにおいての頂点。
何千もくだらない仲間と、同盟ファミリーを持っている。
綱吉はつい最近までは知らなかったことだが、彼はかつてボンゴレファミリー歴代最強と謳われたほどの人物―――――初代ボスの末裔。
高齢で、引退を考え始めた現ボス九代目の跡を継ぐ後継者として選ばれた綱吉は、ボンゴレ最強のヒットマン―――――リボーンに出会うことは必然だった。
「にしても、今日の笹川先輩、いつになく熱かったよな」
「今日は、何なのかな
いつも以上に凄かったっていうか…」
スパルタで、厳しい面もあるリボーンは、決して悪い影響だけをもってきたわけではない。
一人に慣れてしまった綱吉に、親友と呼べる大切な仲間を作ってくれているのだ。
言ってることも、やってることも無茶苦茶ではあるが、結果はいいものばかり。
綱吉は、何処か頼ってしまうし、何処か恨めないリボーンに、日々奇妙様々な試練を与えられているのである。
「まぁ、獄寺くんがいたら、もっと大変なことになってた気もするし…」
「これはこれで、良かったのかもな」
獄寺は綱吉を慕う、まるで忠犬のような存在である。
綱吉に対しては、いつも嬉しそうに目には見えない尻尾を振り、他人に対しては、いつも不機嫌そうに、まるで寄ってくるなとでも言わんばかりな雰囲気を出す。
よく周りが見えなくなり、大変なことを引き起こしたりもするが、中々良い友達。
一緒に居てほっとする、楽しいと感じる仲間だ。
同じく、いつも爽やかな山本も、綱吉の仲間である。
筋金入りの天然節は、少し困りモノだが、人一倍の努力と熱い情は、時々尊敬したくなる。
仲良くなればなるほど、綱吉は仲間に対して、罪悪感が湧いてくる。
本当に、マフィアになる気なんて、さらさらないのに。
彼らを巻き込んでしまったら、どうしようと。
「学校も終わったし
んー、これから暇だな」
「それじゃあ家来る? 宿題のプリント、終わらせようよ」
山本が、いつものように爽やかな笑顔で、「そうだな」と答えた瞬間。
「危ないです!」
刹那、衝撃が走った。
最初の辺りはツナの思考が多いです
話が進むにつれて、ちゃんと山本に寄っていくはずなので・・・
前作とは違って、雲雀さんはあんまり出しゃばらない、予定です
こちらのストーリーも、よろしくお願いします!
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