TRIO!! | ナノ
いつもと変わりない放課後。
わたしとはるちゃんは、先生に呼び出された翔を校門で待っていた。
「ごめんー! 遅くなった!」
先生に呼び出された日の帰り道は、いつもしょんぼりしている翔。
でも今日は珍しくるんるんとしていた。
ツッコめば必ず鬱陶しいと察知した、わたしとはるちゃんは敢えてワケを聞かなかった。
「俺ちょー天才かも」「まじ今日はらっきー!」
一人でるんるんアピールをするが、わたしたちは無視をきめていた。
「なぁなぁ!」
誰も触れないから、終いには自分から話題を切り出した。
なにこの子、ちょっと痛々しい。
なんて思いつつ、わたしたちは適当な返事をしてあげた。
すると彼はふふんと鼻をならしてどや顔をきめた。
「植物って人間と違って、しーおーつーを吸って酸素を出してんだぜ!」
知らなかっただろ、と言うようなどや顔を決める、お馬鹿さん。
何年前に習ったことだよ、おい。
てかしーおーつーじゃなくて、CO2ね。
そんなこと女の子しか頭にない単細胞の彼に言えるはずもなく、わたしはスルーして携帯をいじった。
「へーそーなんだー、 翔はすごいねー」
翔のどや話に笑顔で対応しているが、棒読みなはるちゃん。
せめて演じてあげようよ。
「そーでもないよ! へへっ! じょーしきだって!」
うん、常識だよね、ガチで。
てかはるちゃんの棒読みに気付けよ!
わたしは二人がいちゃつく隣で、夕空を見上げながら溜め息をついた。
あ、いわしぐも、
直視せねばならない現実
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