TRIO!! | ナノ
「翔くんはさ、彼女に手編みのマフラー貰ったらどう思う?」
「え、ちょー嬉しい!俺多分はぐする!」
「まじー? 翔くんならハグされたーい!」
隣で翔といかにもJKっぽい女の子達が、きゃっきゃっ言いあってる。
この僕が蚊帳の外だなんて…ふんっ
「春樹くんはどうなの?」
ふて腐れて無表情でパスドラをやってると、女子が話をふってきた。
お前らに構って貰いたい訳じゃねーよー、
なんてイメージにそぐわない事を思いつつ、僕のシンボルである王子スマイルを瞬時に作った。
「僕は嬉しすぎて、相手の顔恥ずかしくて見れないかも」
小首を傾げ若干照れる素振りを見せて言えば、かわいーって騒ぐ女子。
可愛いのは知ってるよ。でも嬉しくないもんねー、
「はる、お前ほんと可愛いこと言うよなあ!」
そう言って、子犬みたいに笑う翔。
翔に言われたら嬉しいかも、なんて思い、上機嫌でニコニコしていた。
「ぶふっ」
隣の席で吹き出す声が聞こえた。
見るとにひながにへら〜と笑っていた。
思わず舌打ちするとこだったけど、ここは学校だと自分に言い聞かせ、王子スマイルを保った僕は偉いと思う。
「なに?ひな」
コテンと小首を傾げて聞いてみた。
ひなに対してコテンなんて、我ながらキモかったけど、
しばらく僕を見つめて、
「わたしに通用しないっての」
なんて言うひなが、フッと大人びたように笑うもんだから、新鮮で不覚にもドキリとしてしまった。
こんなこと、ひなにも翔にも言えないだろうな。
微笑みの王子様の内緒の話
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