6:瞳に映るもの 「あのガキ遅えなぁ」 「へっ、あんなチビが役に立つとは思えんがな」 昼時を過ぎた頃、街外れの路地の一角で数人の男達がたむろしていた。 「そう言うな。あれでも大総統府直轄の錬金術師様だぜ?権力の塊みたいなもんだ。あやからねえ手はねぇだろ?」 「はは、違いねぇ」 悠長に座談する一同。 其処に間もなく、二人の来訪者が現れる。 「…なんだお前等」 現れたのは長い黒髪の少年。 その後ろには小さな少女の姿も見える。 予想とは違う二人組に男達は顔を顰めた。 「ガキがなんの用だぁ?」 一人の柄の悪そうな男が立ち上がり、のしのしと少年に近づく。 「まだあいつらと会ってないみたいだね。…鈍間ばっかりで助かったよ」 「!?なんだと?」 何か感づいたのか、男はエンヴィーの胸ぐらを掴もうとする。 「ぐあッ!!」 次の瞬間、エンヴィーは伸びてきた男の腕を捩り、不敵な笑みを浮かべた。 「…困るんだよ、機密事項をぺらぺら口外されるとさぁ…」 ―――バキィッ!! 「ぎゃあぁぁぁぁッ!?」 谺する悲鳴。 不自然に曲がった男の腕。 突然の事態に男達は血相を変え銃を抜く。 「全員死んでもらうよ」 エンヴィーは男の腕を掴んだまま事も無げに止めを刺すと、ゴミのように地面に投げ捨てた。 「野郎ッ殺りやがった!」 「てめえ…っ連れの女からバラしてやろうか!!」 「……はあ?あははっ!どうすんの?お前を殺すらしいよ」 未登録は恐怖を押し殺すように小さく震えていた。 その足元には片腕が骨折した一体の死体が横たわる。 [page select] [目次] site top▲ ×
|