小説 | ナノ

▽ 18


 暗い夜の森を、ライゼと二人、そろそろと息を潜めて歩く。光源は頼りなく揺れるランタンの灯りのみ。しっかりとベルトに巻きつけた試験管に、そっと指を這わす。
「もうすぐヘクセの巣に着くよ」
 先を行くライゼが、依然として前の様子を伺いながら声を潜めて言った。
「緊張してる?」
「少し」
「よかった。実は私もなんだ」
 ちらりと振り返ったライゼが、いたずらっぽく笑う。
「もうすぐヘクセの巣に着くけど、大丈夫?念の為にもう一度、この後の動きを確認しておく?」
 ライゼの言葉に、今朝、三人で行った作戦会議を思い出す。
「急だけど、ヘクセに薬を打つなら今日には動いたほうがいいと思う」
 朝ごはんを食べながら切り出した言葉に、二人は重々しく頷いた。ライゼは薬の材料を取りに行くついでに毎回ヘクセの子供の様子を見に行っていたが、あまり状態がよくないことは、彼女の話から十分窺い知れたからだ。
「ええと、じゃあそろそろ出発すんのか。ヘクセが狩りに出てる間に済ませてしまったほうが安全だろう」
 パンをちぎりながらトレイズが言う。俺は少し迷って、それから首を振った。
「いや、行くなら夜のほうがいいと思う。ライゼの負担は少し重くなってしまうんだが」
「わざわざヘクセが巣にいる夜に行くのか?どうして?」
「昼の間だと、子供が抵抗する可能性が高いからだ。子供といっても、体は成人サイズのはず。抵抗されたら、薬を注射するどころじゃない」
「なるほど、それならいっそ眠ってる間に終わらせちゃおうってことだね」
 ライゼが得心したように頷き、それから少し首をかしげる。
「でも、そんなにうまくいくかな……ヘクセは今、気が立ってるでしょう。どれだけ慎重に動いたって、巣に近づくものがいたら起きちゃうんじゃない」
「そうだな。親鳥は起きるという前提で動いたほうがいいと俺も思う。だからいっそ、先に親鳥だけ起こしてしまうのはどうだ」
「ど、どういうこと?」
「ヘクセに何か、石とかでもいいから投げて起こすんだ。警戒して外に出てきたら、ライゼがカンテラを揺らしておびき寄せる。その間に、俺が巣の方へ行って子供に注射をする」
「え、でも、ゼーレくんが見つかったら終わりじゃない?」
「俺は黒いコートを着ていくから、少しは闇に紛れられると思う。あとは、ライゼがどれだけ遠くにおびき寄せられるかにかかってるな」
「カンテラを追って来てくれなかったらどうするんだ?」
「そうなったらしょうがない。朝を待って、ヘクセが巣を出ていってから動くしかないな。まあでも、ヘクセは今相当神経質になっているはずだ。ちゃんと追ってきてくれると思う」
 話し終えると、頭の中で作戦をまとめていたらしいライゼが、唸りながら言った。
「うーん、色々不安要素はあるけど、そこは臨機応変に対応していくしかないか」
 それから、真剣な顔でこちらの顔を覗き込む。
「でも、無理はしちゃダメだよ。何かあったらすぐ巣を離れてね」
 心配そうに言ったライゼの顔が、今、目の前にある彼女のそれと重なった。
 頭を振って、大丈夫、と伝える。
「昼の間ずっと、流れは確認してきたから。心配ありがとう」
「わかった。……ん、見えてきた。あれだよ、へクセの巣は」
 ライゼが指をさした方を見て、俺は思わず息を飲んだ。
 森の終わり、深い裂け谷の壁面にボコボコと突き出した何本もの太い木の根。その間に抱かれるようにして、枝と泥で編んだ巨大な巣があった。遠目でも、その中にヘクセの巨体がうずくまっているのが見える。
「根っこを伝えば、巣の近くまで降りられるから。私、先に行ってヘクセをおびき出してくる。ゼーレくんは、しばらくここで待機してて」
 手近な枝を拾い上げ、自分のベルトに差し込みながらライゼが言った。
「了解」
 ランタンを手渡し、コートの前をしっかり抑えて茂みの中にうずくまる。
「それじゃあ、後は手はず通りに」
 それだけ言うと、ライゼはランタンを口にくわえ、根っこを掴むとするすると岩壁を下り始めた。たちまちヘクセの頭上近くまで降りると、ベルトから抜き取った枝を構え、頭めがけて落とす。枝はライゼの目論見どおりヘクセの頭に当たり、二回ほど跳ねてから巣の中に落ちる。
 沈黙。手を握り締め、ごくりと唾を飲み下す。視界の向こうで、ヘクセがゆっくりと体を起こすのが見えた。
「逃げろ」
 その声が聞こえたように、ライゼが素早く枝を使って地上へと戻り始める。ヘクセが顔を上げ、ライゼの姿を捉えた。琥珀色の目が、敵意を孕んでぬらりと光った。
 ぐ、とその巨体に緊張が走る。翼をたわめたと思うと、次の瞬間ヘクセは体を空中へと踊らせた。一瞬で風を掴んだその羽が、力強く羽ばたいてライゼの姿を追う。その巨大な嘴が彼女を捕らえんと大きく開かれた瞬間、ギリギリで地上に戻ったライゼが横へと大きく飛んだ。ガチン、と嘴が空を噛む。ライゼはそれを振り返りもせず、暗い森の奥へと駆け込んでいった。チラチラと木々の隙間から漏れるカンテラの明かりを追随するヘクセの姿が小さくなった頃、ようやく俺は身を起こした。
「急ごう。ヘクセが戻ってくる前に終わらせないと」
 自分に言い聞かせながら、ライゼの真似をして降り始める。手汗で根を掴む腕が滑りかけるたびに心臓がはねた。なんとか巣までたどり着き、深呼吸をしてから覗き込む。
 ヘクセの子供は、抜け落ちた羽と葉に埋もれるようにして眠っていた。親よりも幾分か小さな体つき。羽はぼさぼさと毛羽立っていて艶がなく、痩せこけているのがひと目で分かった。そろそろと巣の中に入り、大きな羽根を掴んで少し持ち上げる。
「頼むから、このまま寝ていてくれよ」
 祈るように囁きながら、麻酔替わりの痺れ薬をハンカチに垂らして羽根の付け根を抑える。注射器に薬を注入し、ゆっくりと薬を流し込んだ。
「……はあ」
 注射器の薬を全て流し込んだのを確認し、思わずへたりこみそうになる。震える体を必死にいなして、新しく注射器に薬を移し替えた。羽根はもう一枚ある。まだ気を抜くには早い。そう言い聞かせるも、確かにその時俺は油断してしまったのだろう。
 回り込み、もう片方の羽根を掴んだ時だった。踏み出した足が、うっかり枝を踏み抜いた。
 パキン。
 枝が折れる高い音がした。
 凍りつく俺の前で、子供の目蓋がふるふると震えた。その目がゆっくりと開かれ、目があった。
「……」
 睨み合うこと数瞬。ぶわり、と子供が全身の毛を逆立てる。警戒するように体をゆすり、おぼつかない足で立ち上がる。
「ジッジッジッ」
 ざらりとした、金属をこすり合わせるような鳴き声が辺りに響き渡った。へクセの出す威嚇音だ。俺ははっと我に返って、慌てて羽根に取り付いた。この鳴き声で親が帰ってきてしまっては意味がない。ヘクセの飛ぶスピードに、ライゼでは追いつけないだろう。俺一人でヘクセと相対してしまえば、生きて帰れる保証はない。なんとか、ヘクセが帰ってくる前に薬を注射して、この場を離脱しなければ……!
「くそ、頼むから暴れないでくれ」
子供が大きく体を振る。 弱ってもさすがに魔女の子供というべきか、必死にしがみついていなければ、すぐに振り払われてしまいそうな勢いだ。片腕で力の限り羽根をつかみながら、もう片方の手で注射器を構える。ほんの少しだけ力が緩んだ隙を見計らい、一気に深くまで差し込んだ。
「ギィ……ッ!」
 痛みに、子供はぶるりと体を震わせ硬直した。なんとか薬品を押し込み、注射器を抜く。急いで子供から距離を取る。
「よ、よし。あとは帰るだけだな」
 子供と目を合わせたまま、じりじりと後ずさる。充分距離をとったところで、くるりと背を向けて手近な根っこに飛びつこうとした、その時だった。
 突如上から襲ってきた風圧に、体が巣の中に沈んだ。強風に目を細めながら必死で上を向くと、予想していた、そして今一番見たくなかったものがそこにいた。
「もう戻ってきたのか、ヘクセ……!」
 夜の闇よりもなお昏い羽根を持つ怪鳥は、底光りする瞳でまっすぐ俺のことを見下ろしていた。少しでも触れたらバラバラになってしまいそうなほど、緊張で張り詰め荒んだ眼差し。憎しみに震えるその鳥は、子を傷つけられた母の顔をしていた。
 食い殺さんとばかりに嘴を開けて突っ込んでくる。俺は慌てて頭を引っ込めた。ガチン!と頭上で硬質な音が響く。一瞬で血の気が引いた。あんなものに齧られたら、痛いだけでは済まないだろう。
 咄嗟に後ずさるも、それ以上の後退は許さないとばかりに、伸ばされた鉤爪が俺の体を捕らえて地面に縫い付ける。胸部を強く押されて、肺から空気が抜けた。
「ぐ、う……」
 思わず呻く俺を、ヘクセは高みからねめつける。食われる、と思った。ここで食われて死ぬのだと。
 ……もしここで死んだら、あいつ泣くかな。そんなことを考えた。
 それは、嫌だ。
 鉤爪を掴んで、外そうと力を込める。指を切ったのか、ぬるりと血の感触がした。暴れるな、と言いたげに、押し付ける力が増す。琥珀色の目を睨み返す。
  その時だった。
「ゼーレくん!避けて!」
 その場に、いるはずのない人の声がした。
 咄嗟に体を横に倒す。傾いた視界に、銀色の流星が走った。剣を構えたライゼが、その切っ先をヘクセに向けたまま、真っ直ぐに落ちてくるところだった。ヘクセが素早くその場から飛び立ち、空いた隙間にライゼが着地する。俺を背に庇う形で立ち上がり、油断なく剣を構える少女を、俺は呆然と見上げた。
「大丈夫!?どこも怪我とかしてない!?」
「あ。ああ……ありがとう」
「よかった、間に合った……!」
 くしゃり、とライゼが顔を歪める。全速力で走ってきたのだろう、髪も服も乱れ、あちこちに葉っぱが付いていた。
「でも、どうやって戻ってきたんだ」
 ヘクセが戻ってきてから、まだそんなに時間は経っていない。どんなに頑張ったって走って追いつける速さじゃないはずなのに。そう言うと、彼女は得意げに自分の胸元を示した。よく見れば、胸元を飾っていた赤いリボンが消えている。
「ランタンを枝に縛り付けてきたの。こうすれば、ヘクセを引きつけたまま巣に戻って来れるんじゃないかって思って。」
「なるほど。……また、助けられたな。お前には助けられてばっかりだ」
「何度だって助けるよ。私が力になれるなら」
 胸を張るライゼの姿に目を細める。
「で、ここからどうする?」
「それなんだよね……」
 剣を構え直しながら、ライゼが困ったように言う。巣の中に二人、背後には子供、そして頭上にはヘクセ。むしろさっきよりも状況が悪化しているような気がしなくもない。
「うん、これはもう、最後の手段を取るしかないかな」
 真剣な面持ちでライゼは言う。
「私がなんとかヘクセを引き付けるから、ゼーレくんは逃げて」
「なっ」
「それで、村に行って助けを呼んできて欲しい」
 間髪入れずに続けられた言葉に、俺は今度こそ言葉を失った。
 ……確かに、それがこの場では最善手だろう。ただし、それは本当に助けを呼べればの話だ。ただでさえ嫌われているライゼを、ヘクセと戦ってまで助けようとする人がいるとは、俺にはとても思えなかった。
 そんなこと、ライゼだってわかっているはずなのに。
「私は大丈夫。助けが来るまで、持ちこたえてみせるから」
 笑うライゼを見て、ふと気づく。彼女が持っている剣が、心を映してかすかに震えていることに。
 気づいてしまえばダメだった。そっと彼女の手を握る。
「出来ない。悪い、出来ないよ」
「どうして?これまでの交戦で、私が強いってこと、ヘクセはちゃんと知ってる。子供のそばにいる私を無視して、ゼーレくんを追うようなことはしないと思うよ」
「そうじゃない」
「私のこと信じられない?」
「そうじゃないんだ」
 大きくかぶりを振って、言う。
「俺が、お前を置いては行けない。だから、ごめん」
 ライゼの顔に、様々な感情が浮かんでは消えた。最後にゆっくりと浮かび上がったのは微笑だった。決意と覚悟の混ざった笑顔。
「そっか。それならしょうがないね」
 羽のように軽やかに、しかし確かな力強さを秘めた声でライゼは言う。
「ここで戦って勝つしかない。うん、まあ、当初の予定通りかな」
 その言葉に含まれた戦意に、ヘクセが彼女に向き直る。ライゼが腰を落とし、剣を持つ手をぐっと自分の体に引き寄せた。ざり、と靴が地面を踏みしめる。
 あの時と同じだ、と思った。初めてライゼと出会った時に見た、まるで流星のような突進技。前はヘクセの嘴に払われて、その剣がヘクセに届くことはなかったけれど。
 じり、とライゼが間合いを詰める。すっと息を吸い込み、弾かれたように飛び出した。対するヘクセは、真っ向からそれを迎え撃つ。瞬時に距離を詰めたライゼを、ヘクセが頭を振って払いのけようとする。
 「危ない」、と叫びかけそうになるのを咄嗟にこらえる。今、声を上げたらライゼの集中を乱してしまう。
 ライゼを信じろ。
 固唾を飲んで見守る俺の前で、ヘクセの嘴が、大きく薙ぎ払われる。それよりも一瞬早く、ライゼがヘクセの懐に飛び込むのを、俺は確かに見た。
「行ける……!」
 ぴたりと剣が頭部を狙う。腕がひらめき、今度こそ切っ先がヘクセに届く。その時、ようやく違和感に気づいた。
 へクセの様子がおかしい。
 気付いたと同時に、俺は立ち上がっていた。
「待った!」
「……え?」
 ライゼが困惑したように声を上げた。俺も、多分ライゼと同じような顔をしていたと思う。
 先程まで、確かに溢れんばかりの敵意を放っていたはずのヘクセが、今はぴたりとその動きを止めていた。その視線は、俺よりさらに後ろに投げられている。
「!ま、さか!」
 ある予感に胸を打たれて、俺はフラフラと振り返った。
 ヘクセの子供が、ふらつきながらも二本足で立っていた。動かないはずの羽をわずかに羽ばたかせ、必死にバランスをとりながら。
「動いてる!動いてるよゼーレくん!」
 俺の視線をたどったライゼが、隣で小さく飛び跳ねる。
「ちゃんとゼーレくんの薬が効いたんだね!」
「あ、ああ……」
 それは、まるで魂まで引きずり出されるような深い深い安堵だった。
「よかった、俺がしてきたことは間違いじゃなかった。ちゃんと意味があったんだ」
「うんうん。ねぇ、君はもう、自分のことを役立たずなんて言えないでしょう?」
 ライゼが肩を掴む。
「おめでとう。君の力は確かにここに証明された。……胸を張って、ゼーレくん」
「……うん」
 なにかもっと気の利いたことを言おうと思った。お前が助けてくれたおかげだよ、とか、そういうことを。でも、人は、言いたいことがたくさんある時ほど何も喋れなくなる生き物なのだ。俺も最近になって気づいたのだけど。
 そんな俺の背を、まるでわかってるよとでも言うように、ライゼの手のひらがそっとなでる。その暖かさが嬉しかった。
 しばらくそうしていただろうか。やがてぽつりとライゼが言った。
「それで、私たち、どうやって帰ろうか」
 その言葉にようやく俺は我に返った。そうだ、いくら少し落ち着いた様子とは言え、ヘクセはまだ巣の上の方に居座っている。近づいて刺激してしまってもまずい。かといって、根を伝って谷底まで降りるにも、そこまで根は伸びていないのだ。
「そういえば、まだ薬は残ってるんだよね?じゃあ、私がそれを飲んで、ゼーレくんを抱えて飛ぶのはどうかな」
 楽観的なライゼの言葉に苦笑する。
「確かに、お前ならいつか、また飛べるようになるんだろうな。だけど、言ったろう。衰えた筋肉はリハビリしないと元には戻せないって」
 言いながら、俺は不思議と心が凪いでいくのを感じた。多分その時俺は、自分が何をすべきかはっきりとわかっていたんだろう。
 後は、勇気があるかどうかだけだった。そしてそれを、俺はもう、たくさんもらった後で。
 だから。
「なあ、一個だけ、この状況をどうにかする方法があるんだが」
 コートの留め金に手をかける俺の顔は、多分、いたずらっぽい顔をしていたと思う。
「ほんと?どうやって?」
 驚いた顔をしたライゼに微笑みかける。一気にコートを脱ぎ捨てて、彼女の肩に手を置いた。
「こうやって」
 ふわり、とライゼを抱き寄せる。恐怖も迷いも振り切るように、俺はそのまま、空に身を投げた。
「……ッ!」
 ごう、と耳元で風が唸った。風圧に自然と涙が浮かぶ。重力に引っ張られ、俺たちはものすごい速さで落下していく。風に煽られて、体がグラグラと揺れた。必死に羽根を動かして、体勢を整えようと試みる。
 ……ずっと、空を飛ぶのが怖かった。ひしゃげて醜い羽根は、飛ぶにはどうしたって重すぎた。
 だけど。
「すごい、飛んでる!私たち空を飛んでるよゼーレくん!」
 楽しそうな声が響いた。俺に全体重を預けたまま、ライゼが無邪気に笑う。このまま落ちるなんて、微塵も思っていない笑顔で、真っ直ぐにこちらを見上げてくる。 
「……っ」
 飛ばなければならないと思った。  
 自分の弱さも情けなさも全部抱えて、それでも飛べると思ったから。
「今、飛ぶんだ……!」
 広げた羽根が風を捕まえる。ぐい、と体が持ち上がる。自分の羽根で、自分の力で。
 その時俺は、ライゼを抱えたまま、確かに空を飛んでいた。
「見て、ゼーレくん!」
 腕にしがみついたライゼが、伸ばした腕で谷のむこうを指さす。
「夜が明ける……」
 谷間から、新しい太陽が顔を覗かせるのを、俺たちは黙って見つめた。
 金色の光は濁流のように谷間に流れ込み、すっかり夜の闇を遥か遠くに押し流してしまうまで、ずっとずっと見つめていた。

prev / next

[ novel top ]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -